「王の帰還」先行上映顛末記


3部作がようやく完結した「ロードオブザリング(指輪物語)」、2月7日の先行オールナイトを見に行ってきました (どこで見たのかと言うことは一応秘密、ということで)。色々調べると、先行オールナイトの一回目の上映は午後7 時前後から始まるようなので、それに間に合えば当日のうちに帰宅することも出来るので、事前の混雑も想定してかな り早めに現地に向かいました。上映時間の3時間以上前に現地について映画館の窓口でチケットを購入し、指定した場 所にむかったところ、とんでもない人数が既に行列を作っていました。事前に整理券を配布してから時間になったら集 合という形ではないため、この行列に並んでひたすら時が来るのを待たねばならぬのかと思うと、ちょっと辛いなぁと 思いつつ、結局読書しながら時間を潰すことになりました(お陰で手許にあった専門書1冊読破してしまいました)。 その間、映画館の職員の方々がパンフレットを販売して回っていましたが、見る前にいきなり全部読んでしまうかもし れないと思い、その時は買うのを辞めておきました(結局入場後にパンフレットは購入しましたが)。

3時間ひたすら並び続け、ようやく入場開始となりました。館内に入って席を探し、かなり前の方に陣取ることになり ました。しかしあれだけの人数を上映開始時刻から15分ほど前になってからようやく入れたものだから、上映開始前に トイレに人が殺到してかなり混乱していたように感じました。もう少し早くに入場させるべきところだったと思います が・・・・。そんなこんなで上映時間をむかえ、予告が少しあったあとに本編上映開始となりました。(この後、色々 内容に触れる箇所があります。また順を追ってまとめた感想ではなく何となく意識に残っているものを適当に触れてい くという形を取らせていただきます)。

まず映画の最初のシーンは、ゴラムがまだスメアゴルだった頃の話から。映画の中では怪物のような姿になってしまっ ていますが、まだそのような姿に変貌する前の姿が見られます。ゴラム役の俳優さんが唯一その顔を出しているシーン です。たまたま一緒に釣りをしていた仲間が指輪を拾ったがために、それを手に入れようとして仲間を殺してしまい、 やがて姿形も変貌していく様が描かれています。こんな小さな出来事がやがて世界の存亡に関わる事態にいたるわけで す。指輪を手に入れようと色々画策するゴラムの表情は良くできてるなぁと思いながら見ていました。そのためにフロ ドとサムの間を裂こうとして、サムが食料を盗み食いしたという疑惑をフロドに抱かせることにいったんは成功します が、あのような状況であれば食い物を使うのは確かに効果的だろうなぁ・・・。とはいえ、その後巨大な蜘蛛に襲われ 窮地におちいったフロドを助けにサムは戻ってくるし、オークにとらえられたフロドを助けるのもサムなのでゴラムの もくろみは結局失敗に終わるのですが。

一方ヘルム峡谷で闇の勢力の軍勢を退けたアラゴルンたちはサルマンの本拠地アイゼンガルドに向かい、そこでメリー とピピンに再会します。到着してみるとパイプを吹かして余裕をかましているホビット2人がいたわけですが、ヘルム 峡谷の戦いが行われている頃、彼らもエント族と一緒に戦ってアイゼンガルドを陥落させていたわけです。映画の中で はサルマンは魔力を失って塔の中に押し込められていることになっていますが、本当はサルマン登場シーンは本編中に あったものの編集過程でカットされてしまったようです。そのためサルマン役のクリストファー・リーが激怒したとい う話も・・・。サルマンが出てこないため映画の終盤も原作と少し違っています。

その後ガンダルフはピピンを伴ってゴンドール王国へ向かいます。都ミナス・ティリスの城の壮大さや、ゴンドールの 衰退ぶり、ボロミアの父デネソールが息子を失った悲しみから、このような状況でも国をアラゴルンに奪われることを 心配してローハンへの援軍要請を拒絶するという程に正常な判断が下せぬ状態になっている様子がかかれています。ロ ーハンへの援助を求めるのろしはガンダルフがピピンをつかってうまいこと点火させることで結局のろしが上がり、ロ ーハンに情報が伝わることになります。のろしを見た烽火台に詰めている兵士達が次々と火をともして伝えていきます。 かすかな希望がつながっていく感じでなかなか良いシーンだと思いました。これをうけてローハン国のセオデン王は過去のし がらみなどをいっさいすてて援軍を送ることを決意します。過去にこだわり、判断を誤ったデネソールと過去のしがら みを捨て援軍を送ることを決意したセオデンの姿勢の違いは、なんとなくその後のペレンノール野の戦いにおけるゴ ンドール軍とローハン軍の勢いの違いとも何となく結びつくような・・・。闇の勢力の軍勢の攻勢にさらされ続け、時 としてその攻撃におびえているような印象さえ受けるゴンドール軍と、敵の攻撃を受けても前進することを辞めず敵に 向かって疾走するローハン騎馬軍団の対比がかなりはっきりしているような書き方だと思いました。結局ペレンノール 野の戦いは終盤にナルシルの剣を手に入れ、亡霊軍団を味方につけたアラゴルンらが土壇場で間に合ったことにより 人間側が勝利します。

人間達が戦いを続けている間もフロドとサムの2人は指輪を捨てるべく滅びの山へと向かっていきます。その過程でフ ロドが倒れてもサムが彼を背負って山を登っていくのですが、指輪の重荷は背負えなくともフロドを背負うことは出来 るというようなことを言うサムの姿はなかなかかっこよいものがあります。この場面以外にもサムの見せ場はフロド救 出の場面もあります。このシーンに限らず3部作の中で今作はサム、メリー、ピピンといったホビットたちの見せ場が 結構ありますが、フロドを背負うサム、フロドの任務達成のため陽動作戦をとったアラゴルンが「フロドのために!」 と叫んだときに真っ先に駆け出すメリーとピピン、見せ場がきちんとあって良かったです、はい。ただのちっちゃい人 ではないということで・・・。

そして物語は指輪を捨てるところに至りますが、ここで重要な役割を果たした?のがゴラムです。指輪の魔力に結局フ ロドも打ち勝てず指輪を捨てずに指にはめてしまいます。そこに突如表れたゴラムが指輪を取ろうとしてフロドと格 闘になり指を食いちぎって指輪を奪い取ります。しかしゴラムは火口に落ちてしまい、結局指輪は火口のマグマで溶か されて消え去ることになります。第1部でどんなものも何らかの役割を持っているというようなことをガンダルフが言 っていましたが、ゴラムも指輪を捨てると言う役割を結果として果たしたわけです。元ホビットのゴラムが最後に重要 な役割を果たしたという点でも、アラゴルンだの、レゴラスだの色々なキャラクターがでては来ますが、重要どころを この物語はなんだかんだといっても中心はホビットなのではないかという印象を持ちました。一応指輪を預けられた だけのことはあるのではないかと思います。

そして任務を終えたホビット達はホビット庄へと凱旋しますが、ホビット庄の人々は彼らがそのようなことを成し遂げ たことなど全く知るよしもなく、彼らの帰ってくる様子をいぶかしげに見ていたところがなんとも・・。ホビット達の 間では平穏な日々が続き、帰ってきた4人もその中に戻っていったように見えます。ただし以前と同じ状態でいつづけ ることはできず、フロドはホビット庄を去り、ビルボやエルフ達と共に海を渡ることになるのですが・・・・(この辺は 原作では色々とありましたがそのあたりの話は全く出てきませんでした。クリストファー・リーがぶち切れたのはこの辺 のことか?)。 ビルボが書きつづった物語がフロドへ、そしてサムに託されます。恐らくその後サムがその物語をすべて書き上げたのでは ないかと思われます。また、世界はエルフから人間に受け継がれましたが、果たしてエルフなどがいなくなったあとの人間達 がどの様な世界を作るのかはだれにも分かりません。ちゃんとうまくやってくれればいいのだけれど、何となく心配になって きます。指輪はなくなったけれど、似たような物を作ってしまうかもしれないし、平和になったらなったで色々と問題が 生じるのが人間の社会ですから。

とりあえず、気の向くままに「王の帰還」の感想めいたものを書きつづってきましたが、これで長かった「指輪物語」 の世界も終わりを迎えます。これだけのスケールのある話はこれからもそんなに出てこないのではないかとおもいます が、とりあえずナルニア国物語がどんなふうに仕上がるのか、それが気になる今日この頃です。


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