「マッドマックス4」を見た


2015年7月16日に丸の内にて表題作の映画を見てきました。なんか随分と懐かしい映画やってるなあと思い、ぷらっと 覗いてみたというのが正しいですが。

「マッドマックス」というと、日本では登場人物のコスチュームとか世界観のようなものが「北斗の拳」にかなり 大きな影響を与えているということでも知られています。確かに核戦争で荒れ果てた世界で、人々が争っていると いう設定、そして人々の妙竹林な格好は北斗の拳は真似したんだろうなあということがよくわかる映画ではありました。

3作目まで作られましたが、そのあとは全く何もなかったので、まあそれほど興行収入よくなかったから作るのは やめてしまったのかなくらいに思ってからずいぶんと長い年月が経ちましたが、新作が突然作られて発表されてい ました。一応主人公のマックスを演じていた役者などなどは変わっていますが、世界観は昔とそれほど変わらず。

大まかな物語としては、権力者の元から自由を求めて逃走した女の人たちが、最終的に権力者を打倒して新たな世界 を作っていく、その流れに主人公は巻き込まれ、サポートする、というところです。核戦争による汚染で長く生きら れなくなっている若者を戦って死ぬことこそ最高の名誉という思想で染め上げ(北欧神話のヴァルハラみたいな話も 実際出てきます)、水をおさえて人々を支配するイモータン・ジョー。そして人々に対しては特定の役割が割り振ら れており(母乳を取るだけの女の人などなどがいます。戦闘員ウォーボーイズもそういう扱いだよな)、彼にとって 妻たちは健康な子を産む道具程度にしか思っていません。

全てを恣に支配する社会を作り上げた彼の元から妻たちが逃げ出すのをサポートしたのがイモータン・ジョー軍団の 大隊長(確か向こうの表記ではImperatorだったよな)、片腕ながらジョーの信頼厚いフュリオサ。そして彼女たちの 逃走を追跡する部隊に「血液袋」(しかもO型は「ハイオク」という設定、、、)として連れてこられた主人公マックス は、ひょんなことからフュリオサたちの逃走をサポートすることになります。

こういうアクション映画で女性が出てくるというと、なんとなくおまけというか、扱いがあまりよくない(なんか やるけれど、うまくいかなくて、結局男の主人公に助けられるという主人公引き立て役みたいな)ことが結構多い ような感じがします。しかし、本作で出てくる女性陣のなんともまあ逞しく、そして格好の良いことか。大隊長 フュリオサはもちろん、逃走するジョーの5人の妻たちも決して添え物的扱いではなく、すごい目立つわけではない けれど、局面で結構目立つ場面もあります。そして、物語後半で出てくるバイクと銃を操る鉄騎の女たち。フュリオサ の故郷の生き残りたちですが、これが実に魅力的ですね。

この映画において大きく立ち位置が変貌していくキャラクターとしては元ウォーボーイズのニュークスが挙げられる でしょう。最初はイモータン・ジョーのもとで名誉のために死ぬことこそ素晴らしいと信じて生きており、それ以外 の考え方を全く持たない状態です。しかし任務失敗してイモータン・ジョーから間抜けの一言でぶった切られ、 フュリオサ一行と行動を共にすることになると、車のメンテナンスという形で貢献するようになります。最後は自分 で考えた末に自己犠牲を選ぶことになり、何かのために死ぬという点ではウォーボーイズ時代とにているような気も しますが、変わってきた様子が伺えます。

戦う事ではなく、車を治す技術によりフュリオサたちに貢献するニュークス、血を与える事でフュリオサを救い、 向かう目的地についてより良い知恵を提供したマックス、この辺りが目立つところも、普通のアクション映画とは なんとなく違うものを感じます。昔、アクション映画の男性キャラクターというと戦う事がメインとなることが多か ったと思います。この作品でも、マックスやニュークスの戦うシーンは結構ありますが、戦う事だけでなく、何かを 与える、作る、なおす、そういった事での貢献が結構強調されるキャラクターが主要キャラクターになっている所は 他の映画と違う所なのかなという気がします。ヒーローではありますが、ヘラクレスやアキレウスのような武勲を あげるタイプではなく、なんとなく文化英雄的(そしてすこしトリックスター的)な要素を感じるキャラクターに 描かれているようです。

いろいろなところで指摘されるように神話のような極めて単純な構造でありながら、色々な人々の生き方が織り込まれ、 思考が揺さぶられる所があるから、そこに反応していろいろな感想が書かれる作品なのだろうとおもいます。一方、 そんなに堅苦しく考えなくても色々と揺さぶられる所はあります。火を吹くギターとか、ギターとか、ギターとか。


トップへ戻る
inserted by FC2 system