「古代エジプト展 天地創造の神話」をみる


コロナ渦により博物館も休館、特別展も中止や延期、再開後も予約制など今までと違う状況下にある2020年ですが、 11月下旬より江戸東京博物館で『古代エジプト展 天地創造の神話」という展覧会が開催されています。会期は2021年4月 までと結構あるのですが、早いうちに言った方が好いていると思い、早速見に行ってみました。

今回の展覧会は、ネフェルティティの胸像を収蔵している事でも知られているベルリン国立エジプト博物館の所蔵品から構成 されており、内容としては天地創造と神々、ファラオと宇宙の秩序、そして死後の審判と来世ということで、エジプトの精神 世界の方に重きが置かれた展示となっていました。

第1部では古代エジプトの神々と天地創造の神話の部分をアニメーションで再現しつつ、様々な神々にまつわるものを展示して います。定番のオシリスやイシス、ホルスト言った神々から、セクメト女神やバステト女神、さらには複数の神々が習合した ようなもの(ミン神などが習合した神様は、なかなかインパクトのある仕草と造形になっていました)、それらがをじっくりと みることができます。一部、これは果たしてヴィジュアル的に出して大丈夫なのかと思う神様もいますが、様々な神々が存在 する世界であると言うことが分かる展示だったと思います。

第2部では、ファラオと宇宙の秩序と言うことで、王や神官、役人などの像やそれに関連するものが数多く展示されていました。 ハトシェプスト女王の巨像やセティ1世の墓のレリーフ、そしてネフェルティティ(あるいはメリトアテン)の顔やネフェルタリ の像、アクエンアテンの浮き彫りなど、新王国時代の歴史を知っていたら必ず名前を目にする王族に関係するものが展示されて いました。ハトシェプストの像はよくあるファラオの像にしてはちょっと表情が柔らかいなあと思ってみていたら女王の像だった と言うことを後から知りました。エジプトの美術というと写実性よりも定型表現という印象が強かったのですが、なぜだか普通 のファラオの像とは違う印象を受けました。

そして、写実的ではないといわれるエジプトの美術なのですが、ネフェ ルティティあるいはメリトアテンの像については、現代の モデルや俳優にこういう顔つきの人は間違いなくいると思う風貌で表現されていました。ある種理想化された姿での表現なのかも しれませんが、時代や地域により理想とされる姿というのは色々あり、それが偶然にも現代の感覚にマッチするということもある のかなと思いながら見ていました。

第3部は死者の書や、ミイラに関連するもの、死後の世界につながるものが色々と展示されていました。来世での再生を果たすため のマニュアルがあり、それの通りにしていけば復活できるという設定を考えるなど、エジプト人の来世信仰の強さを改めて実感 できる展示となっていました。そしてそれはローマ時代のエジプトでも根強く存在していたということが、展示されていたもの からも分かる内容となっていました。

全体を通して、思った以上に充実した展覧会でありじっくりと楽しむことが出来ました。また、この展覧会、写真を撮ってもよい ということで、色々と気になるものは写真を撮って帰ってきました。少しだけこちらにもアップしておこうかと思いましたが、 思ったようにいかないのでやめておきます。


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