ラファエル前派展を見る


2014年3月7日、六本木の森アーツセンターにて、「ラファエル前派」展を見てきました。ラファエル前派って一体何だろうと思う人もいると 思いますが、どこかでこ う言う画を見たことが ある人はいるのではないかと思います。リンク先のミレイ「オフィーリア」をはじめとする近代イギリスの様々な絵画について、「ラファエル 前派」と呼んでいます。そのラファエル前派の様々な絵画を集めた展覧会が開かれました。

まず、ラファエル前派とは一体何だろうと思う人が多いのではないかと思います。ラファエルの前という名前が付いているのに何故イギリス? と思う人もいるかもしれませんし、私もそう思っていました。イギリスではラファエロの絵画が手本とされてきたなかで、それとは異なる路線 を追求した画家達がおり、彼らがラファエロ以前の絵画を手本として考えたためについたということのようです。

イギリスのアカデミーでよしとされるラファエロを手本とした絵画と違い、ラファエロ以前の初期ルネサンス絵画を理想とした芸術運動 を展開し、自然をありのままの姿で描く、リアリズムを追求する、そして文学や歴史に題材を求めた絵画、宗教画、風景画、風俗画などを 残し、その流れがやがて象徴主義や唯美主義にもつながっていく、それがラファエル前派ということになるようです。今回の展覧会では ラファエル前派の数多くの絵画が出展されていました。

絵画の展覧会の場合、何となく気分が乗らないとさっさと通り過ぎてしまい、とりあえず流してみたという感じで終わってしまうことも あります。しかし、今回のラファエル前派展については一つ一つの画をじっくりと見てしまいました。なぜだか知らないけれども目を惹く絵画 が多数ありました。ラファエル前派の画家達は使うモデルもちょっと普通とは違う所から見いだしていたようで、女性像のモデルに労働者 階級の女性を使ったりすることも結構あったようです。そしてモデルとなった女性の顔つきなどはどうも理想化されることなく、だいたいは見た 目の通りの印象で描かれているようです。そのため、女性達のたたずまいが少々個性的であり、力強さも感じさせる物がありました。

有名な「オフィーリア」以外にも魅力的な絵画はおおく、最初にこれを見た人達からすると、やはりかなり強烈な違和感を感じるだろう と見ながら思いました。均整や調和のとれたラファエロの絵画とはまるっきり違う世界がそこに描かれているのですから、それを受付け 無い人たちもかなりいたというのがよく分かります。しかし現状に甘んじることなく、新しい表現を求めた彼らのような存在があったからこそ、 絵画の世界でも新たな発展があったと言うこともよく分かります。新たな表現が生まれ、それが絵画表現の世界にさらなる広がりを与えて くれたということがなんとなく伝わってくる展覧会でした。

そして、絵画とはまた別の話になるのですが、ラファエル前派の画家やそこに関わった女性達の人間模様もかなり強烈な印象を 与える物はあると思います。ラファエル前派の画家達のモデルとなった女性たちの顔つきはどれもなかなかに個性的です。そして画家 とモデル達の複雑きわまりない人間関係もまた強烈な印象を与えていると思います。昔のアメリカの学園ものテレビドラマを思わせる、 ほれたはれた、ついたはなれた、色々と大変ですね。なお、モデルとなった女性のなかには画家として活躍することになったりした人 もいたようです。


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