大英博物館古代エジプト展を見る


7月8日、六本木の森アーツギャラリーにて開催された「大英博物館古代エジプト展」をみにいってきました。この博物館、 えらい高いところにあるため、そこに行くまでがなかなか大変です。高速エレベーターにのっていくのですが、ちょっと 耳鳴りがしてきました。それがちょっといやなんですよね、この美術館。

それはさておき、古代エジプト関係の展覧会というと、やはりミイラに関係する物が多いように思われます。この展覧会も 古代エジプトの死後の世界や死生観にかんする展覧会ですが、目玉は大英博物館に所蔵されている全長37メートルの「死者の書」 の現物、グリーンフィールドパピルスです。「死者の書」とは、来世での再生を願うエジプト人達が、来世へと向かうための ハウツー本のような形で持たせたもののようです。イアルの野に向かうまでの間に様々な困難や審判に遭遇することになって いますが、それをどうやって乗り越えるのか、それをさけるにはどういう呪文を唱えればよいか等といったことが書かれています。

その前に、古代エジプトの死生観や神話に関係する展示や、死者の書登場以前の状況に関する展示がありました。ピラミッドの 壁面にびっしりと書いている時代もあれば、棺に書き込む時代もあり、やがてミイラに持たせる巻物のような感じで「死者の書」 が作られていったと言うことが分かるように展示していました。実際にびっしりと文章が書かれた棺なども展示されていました。

そして、いよいよメインのグリーンフィールドパピルスへと向かいます。この死者の書は、女性神官ネシタネベトイシェルウ のために書かれた物で、全長37メートルというのがどのくらいなのかと思いながら見に行ったのですが、これは相当長いものでした。 これのために展示室を一つ全部使い切ってしまうくらいですから。これだけのものを自分のために作らせたのだから、この女性神官 の権威は相当な物だったということはよく分かりました。それが日本に来たら、イシェルウちゃんなるみょうなキャラクターにされて しまうとは。何でもキャラ化する現代日本恐るべし…。

ただし、内容は似たような内容と場面が結構頻繁に登場しており、何となく口承文学で似たような表現が色々なところに出てきて 長くなっているような感じではありましたが。「あれ、これって前にも遭遇したトラップじゃないか?」「この妙な化け物、少し 前に出ていたよな?」とか、そういったことを見始めてから半分近くなったあたりから感じるようになりつつ、全体を見てきました。

今回の展覧会は、「死者の書」や死後の世界に関係する神話やお守り、道具などをあつかった展覧会ということで、単に旧い物をあつめて 持ってきましたという感じの展覧会でなく、あるテーマにそって展示が行われている物でした。エジプト関係の展覧会というと、金銀財宝 とか巨大な石像とかミイラとか、そういったものをとにかく並べているような印象を受ける展覧会もあるのですが、こういう風にテーマを 決めて、それをモノで示す展覧会というのも面白いですね。


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