東洋文庫ミュージアムを見に行く。


駒込六義園のちかくにある東洋文庫は、東洋学専門の図書館・研究施設です。そこが建物を改装し、新たにミュージアムとして 収蔵している物の一部を公開するようになりました。

いままで、オープンしてから早く見に行こうと思いつつなかなか行けなったのですが、ようやく駒込まで出る時間がとれたので、 それをみに行ってきました。今回の展示は収蔵されている大量の本から、ごく一部を選び出して並べており、一応テーマは色々と 決まっているようです。辛亥革命関係の展示物がまとめておいてあるところや、アジアにおけるキリスト教にかんする物をまとめて いるコーナーがあったり、近代に課か悪者がまとめて展示されているところがある、悪く言えばまとまりがない、よく言えば色々な 物を見てもらう、そのような展示になっています。基本的に書物を並べてある展示のため、地味と言えば地味なのですが、教科書 等でどこかで見たことがある物が色々と見られました。アヘン戦争というと良く出てくる清のジャンクがふっとんでいる画とか…。

面白いところでは、満州語訳の「三国志演義」なんてものがおいてありました。清では色々な本を満州語にしていたらしいのですが、 やはり「三国志」は外せないと思ったのでしょう。あと、マリー・アントワネットに贈るための特装版のイエズス会宣教師の報告書 も展示されていました。ずいぶんと重厚な作りの表紙で、実際に彼女がそれを手にとって読んだのかどうかは不明ですが。ちなみに、 ここの食堂の限定10食のランチが「マリー・アントワネット」セットとなっていて、お重の箱はどうもこの本をモチーフにしている みたいです。いった時間が遅かったため、残念ながら食べられませんでしたが。

また、展示方法もちょっと変わったことをやっているところがあり、デジタル技術を色々と使っているところがありました。今回は、 ビゴーの風刺画とプチャーチン関係のものがありました。で、ビゴーの風刺画を電子書籍を読むような感じで頁をめくったり、 プチャーチン関係の絵巻みたいな物をスクロールさせて読むことができるのですが、頁をめくるのが意外と難しかったです。めくって いる途中で失敗したことが何度かありました。紹介されている画はどこかで見たことがある(日清戦争直前の情勢をかいたものとか、 文明開化期の日本を風刺した物、ノルマントン号事件の画などなど)、そういうものがおおいのですが、貴重書をこう言う形で紹介 するのもありかなとはおもいます。実際に手にとって触れない物ですし。また、「解体新書」の実物と、デジタル技術を組み合わせた 展示もあり、それは、スイッチを押す前は実物が展示されていたはずが、その上にCGの画像などが重なり、あれ?どこにいったの だろう?と一瞬分からなくなったりする、何とも不思議な感じをうける展示でした。まあ、ああいうのも面白いかな。

あと、個人的に印象深かった物は、モリソン・コレクションを並べたコーナーです。所狭しと書籍が並べられた様は壮観ですね。ここ では一部の書籍を開いて展示しており、シャー・ジャハンの細密画などが展示されていました。これだけ大量の本を集めるのも凄いと おもうのですが、そのコレクションを丸ごと全部買ったというのもすごいなあと。確かミュージアム内の解説だと、今の価格で70億円 相当と言ったことが書いてあった記憶があるのですが、昔はそういうことをしようと思う人がいたんですねえ。今の経営者の人達には そんな余裕はないだろうし、そもそもこういう方面に造詣の深い人やそれなりの見識を備えた人がいなさそうですし(昨今の財界の人 の物言いを見たり聞いたりすると、特にそう思うなあ…)。

なお、ここは写真撮影は基本オッケーなところなので、色々と写真を撮ってきても面白いかと思われます。全体としては、ちょっとま とまりがないような気もするところはありましたが、個人的にはいろいろと実際に見られて面白いなあと思った物もありましたし、 よかったですよ。次回以降、どんな展示をするのかは、今回の展示に対する反応を見てから考えると思うので、その時はどうなるのか、 また見に行ってみたいと思います。


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