「トリノ・エジプト」展を見る


10月2日の夜、仕事帰りに上野にある東京都美術館で開催されていた「トリノ・エジプト」展を見に行ってきました。もうすぐで終了という ことはしっていたので、ぼちぼち見に行くべきかなと思い、平日夜でしかも雨だったら意外と空いていたりしないかなという期待とともに 見に行ってきたのですが、予想に反してかなり混雑していました。

  • 展示概要
  • イタリアのトリノに膨大なエジプト関係のコレクションがあるのはなぜなのか、まずそこで引っかかる人もいるかもしれません。図録を 買っていれば、そこに色々書いてあったのかもしれませんが、ここの所収納スペースと予算の関係上、図録の購入はしないことにしている ため、きちんとした情報の収集は出来ていませんが、17世紀頃からコレクション自体は収集がはじまっていたらしいということ、そして ナポレオンのエジプト遠征がコレクション発展の契機となったということはいえるようです。そして現在は33000点におよぶコレクションが あり、最近はアカデミー賞受賞美術監督の手による展示方法も工夫を凝らしているとか。

    単に物を並べると言うだけでなく、照明の当て方にも工夫が凝らされているなあと思いながら見てきましたが、今回の東京都美術館での展示 でも、現地の博物館と同じような展示方法がとられているようで、普段の特別展とは何となく雰囲気が違っている感じがしたのはそのせいだ ったようです。展示品には、ガラスのケースなどで覆っていない物もあり、彫像の裏のほうまで見えるように展示されていたので、そういう ところは良かったなあと思います。また、混雑していると、これが一体何なのか分からないと言うこともありますが、展示品の説明を高い所 と低い所の2カ所に同じ物を掲載していたので、前の方に人がたまっていても、そこに何があるのかが分かりやすくなっていたのは良かった ですね。

  • 展示の内容
  • 展示の中身については、古代エジプト物の展覧会というと必ずある、神や王の彫像、レリーフ、ステラ、棺(石棺・木簡)、パピルス、 死者の書といった定番物が並べられていました。今回は意外と黄金や宝石と言った物は少なかったような気がします。ポスターやチケット にも使われたアメン神とツタンカーメンの像もみてきましたが、像の周りをぐるっと一周して前・横・後ろをじっくりと見てきました。 ところどころに現代語のアルファベットが刻んであるのは、昔の人が見つけたときに勝手に掘ったのでしょうか。美術品へのいたずら書き のようなものは昔もあったのでしょう(まあ、エジプトの遺跡に行くと色々な人の名前が刻んであるらしいし…)。

    アメン神とツタンカーメンの像もよかったのですが、もう一つのメインであるイビの石棺は非常に手がかかっているなという感じをうけました。 非常に丁寧に磨き上げられた黒い石(砂岩らしいですが…)でできた石棺ですが、磨き上げられた結果、石とは思えないメタリックなつやが 出ているという、何とも凄い物でした。

    その他にも、色鮮やかな木棺や、人や神の姿を彫った彫像、死んだ人のためのステラ(石碑)など、混雑さえしていなければ、腰を据えて じっくりと鑑賞したいと思う物が多数ありました。ステラに関しては、大抵の物で死者が椅子に座っているのですが、このような表現法は ギリシアにも影響を与えたのかどうか、ちょっと気になりました(ギリシアの墓碑だと死者は椅子に座った形で表現されていたような記憶 があります)。

    (おまけ)

    出口の近くには例の如く売店があり、色々なグッズを売っていました。そのなかで、見たときに一瞬凍ったのは、イビの石棺の顔がみょうに 怪しく、濃い笑顔にかわっているグッズがあり、こういうのはイタリアンジョークなのかとおもったのですが、どうやら日本の展覧会用に 日本で作っちゃった物のようです。だって、ねえ、まさかイタリア人が沢村一樹の顔を土産物に付けたりはしないでしょう。


    トップへ戻る

    inserted by FC2 system