日々の雑感(2015年1月〜3月)

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3月31日
4月下旬、いよいよ「ヒストリエ9」がでます。随分待たされましたがようやくよめる。

そして、これが3月の最後の雑感か。今月忙しかったからなあ。今月何かしたことと言うと、上野の「大アマゾン展」を見てきたこと くらいですし。

3月3日
京都大学学術出版会から出ている西洋古典叢書の2015年度刊行予定がサイトに載っていました。プルタルコス「英雄伝」 の4冊目がでるのと、プロコピオス「秘史」の訳が出るそうです。これは楽しみ。

そして、今回出るプルタルコスにはエウメネス伝が含まれています。岩波文庫版には当然エウメネス伝は載っていますが 岩波版は現在品切れ重版未定状態、ちくま文庫はそもそも載っていないという扱いでしたから、これでようやくエウメネス 伝が手に取りやすくなりました。。あとはディオドロスの18巻とか19巻を誰かが訳してくだされば、、、、。

3月1日
学研が不採算部門を閉じると言うことで、学研M文庫が廃刊になるというニュースを見ました。「歴史群像」はどうなる のか分かりませんが、残るようです。

個人的には、学研M文庫は「世界戦史」の本を買ったことがあるくらい、「歴史群像」はディアドコイ戦争の記事があるときに それを買ったくらい、そんな程度でしかありませんが。M文庫はラインナップの中にはかなりまっとうな本も少し混ざっている 一方、それはどうなんだろうとおもう本が多かったですし、「歴史群像」も玉石混淆という感じでしたが、どうしても軍事の事 だけ特化していくというか、そういう記事が多かったなあと。

それにしても、“歴史好き”というと、なぜ軍事関係の方に話が集中するんだろうなと思っているのですが、こうした書籍や雑誌 の存在は“歴史好き”=ミリタリーなあたりが好きという感じのイメージを広めるうえでそれなりの影響を与えていたのかなあと 言う気がします。「歴史群像」がミリタリーに特化した路線に舵を切るきっかけはそっち関係の記事の時は売り上げがかなり良く なったため、それならということで変わったそうです。それまでにもミリタリーなものが好きな“歴史好き”は一定数いたが、 それがよりはっきりと顕れてくるようになるきっかけになったのかもしれないなと勝手に思っています。

問題は、そういう“歴史好き"達が他の分野にまで興味を持ってくれると言うことはあまりなかったということかなと。特定の 狭い分野には興味があっても、そこから他にはなかなか広がっていかなかった/いけなかった、その辺りの所でしょうかね。

あと、この辺は間口が広いと言うことにもなるのかもしれないのですが、こう言う雑誌で書かれた「新説」の扱いってのが なかなか難しいよなあと言うか何というか、、、、。個人的には「歴史群像」の記事を研究実績として主張するのはナシだと 思いますが。

2月27日
そういえば国立大学の2次試験が始まりましたね。東大の世界史の問題を見てみましたが、モンゴル時代をテーマにしていました。 過去にあったかなと思って調べると、21年前にもモンゴルをテーマにした問題が出ていました。前回は衝突と交流をテーマにした 論述問題で、今回は経済面、文化面での交流に焦点をあててということですが、交流について論じろという問題でした。

異なる国家や文明が接触したときには交流もありますが、衝突もあります。21年前の問題のほうがある時代についてより広く捉え ているような問題では無いかと思うのですが、どうなんでしょう。今回の問題、昨年の問題と、なんとなくですが扱われるテーマが 狭くなっているような気がします。出題担当者のほうで、昔みたいな問題を出すと今の受験生には解けないから、なんとか取り組み やすい問題にしたのでしょうか。

東大の世界史論述の1問目は大きなテーマを扱うものがおおいのですが、どうもネタが枯渇してきているのではないかと思います。 もちろん世界の歴史には色々な題材はあるのですが、高校の教科書でそれなりに扱っている物というとかなり限定されていくの ではないでしょうか。ある地域を縦に追いかけようとすると、どうしてもそういう形の問題が作れるところは限られてしまいます。 例えば現在のギリシャがあるところで古い時代から近現代まで追いかけたとしても、高校世界史のギリシャの扱いを考えると、 ローマの属州になってから後、独立した後の状況はかなり手薄でしょう(東ローマ、オスマン、独立後のギリシャ王国の展開は あまりデータが載っていません)。

また、学術の発展と社会や経済、政治のあり方を絡めると言う問題もほんとうであればもっと色々作れるのではないかと思います。 科学革命とか、その辺りの本を色々読むと、あの時代は非常に面白いのですが、残念ながら高校世界史では文化史は適当な扱いしか されていないと思います(なぜ人名と作品、業績の羅列にしかしないんだろう)。結局の所、似たようなテーマを扱わざるを得ず、 目先を変えて何とかしのいでいる、そういう所ではないでしょうか。

なにか思い切って斬新なテーマを扱おうとすると、高校世界史では往々にしてそういう事柄はちゃんと扱っておらず、 受験産業関係者や学校関係者から「悪問」よばわりされるという展開になるんでしょうけど、もうちょっと面白い問題 作って欲しいんだけどなあ、東大なんだし。

2月26日
2月は何かと多忙で、雑感をアップすることをすっかり忘れていました。特にどこかに行ったりと言うこともなく、 何かを考えるという余裕もなく、気がつけばもうすぐ2月が終わりそうという状況です。これだけでは何なので、 何かちょっとだらだらと書いてみることにします。ちょっとしたリハビリのような感じですが。

読書コーナーはちょこちょこと書き加えたり、ブログの方には感想を2本今月は現時点でアップしています。 一冊は昔読んだ本を改めて読み直して長めの感想を書いた佐藤昇「民主政アテナイの賄賂言説」(山川出版社)、 もう一冊はカルミネ・アバーテ「風の丘」(新潮社)です。前者は前に読んだ時にも面白いと思ったのですが、 久し振りに読み返してみようかと思いまして。

感想はブログで書いたのでここに改めて書くことはしませんが、できればこの本の内容をもとに一般向けの本も 出して欲しいなあと思います。やはり専門書は普段そういう本を読まない人にはちょっと手に取りにくいですし、 価格も欲しいと思ったらすぐに買えると言うレベルの本ではありませんし。


1月30日
あららら、気がついたら雑感の更新をしてアップするのを忘れていた。今月色々と忙しかったからなあ。サイトに関しては、 記事の執筆準備中という状態ですね。まだまだかかりそうです。いつごろになるやら。

1月28日
書店にて人物叢書「宮本武蔵」を購入。武蔵について人物叢書から本が出るとは思いませんでした。ほとんどの話が創作物に 基づいている世間一般の武蔵像という物がどういう経緯でできていったのか、その辺りにも触れているようです。そして晩年 の細川家での武蔵野処遇については史料も比較的あるので、そこについては色々と書いてあります。

それにしても、よく武蔵でこのシリーズから本を出そうと思ったなあと言いますか、良く書けたなあとおもいます。限りなく フィクションに近い実在人物って、扱いが難しそうですし。

1月23日
一部で話題の(?)「再検証長篠の戦い」を本屋で目撃しパラパラと読む。正直なところ、この人大丈夫?と思う箇所があり、 なんかもやもやしたまま読もうという意欲が低下。あまり建設的な内容ではなく、無理して2000円を投入しなくても良いと思い、 購入は見送り。

その代わり、色々と本を購入しましたが、「ビスマルク」(中公新書)はなかなか面白かったです。有名な鉄血演説はむしろ ビスマルクを不利な立場に追いやることになっていたとは知らなかった。まだまだ世の中は面白いことで満ちている。

1月18日
そういえば、センター試験ですね。受験生の皆さんは頑張ってください。

で、初日に社会科があり、世界史の問題で答えが二つ出る問題が出たとのことでした。出題者は1つに簡単に絞れると思って いたようですが、あの文章ではちょっとまずかったですね。ありゃ作問した側の吟味不足だろう。ネタだけではなく、文章の 形についてももっと気を遣わないと駄目でしょう。

まあ、センター試験自体はいつもの如くかなり簡単でしたが。ただ、今回のような事例をあえて今後の問題研究の材料には できないだろうかと思う所はあります。問題について、正解となり得る組み合わせをつくらせ、その理由を述べさせるという 感じにしてみるとか。

1月3日
あるジャンルについて、新規性がないとかバカの一つ覚えみたいな考え方を反映した同じような造りの話をとって 面白いのか等々といわれることがあります。確かにそうだよなあと思う時もあるのですが、そのジャンルに精通 した人とか、そこに脚を少し踏み込んだ人達にとってはそれが新規性がないとかバカの一つ覚えかもしれませんが、 そうじゃない人達にとってはそのようには全く見えていないこともあるんじゃないかなと。多くの人にとって、一つ 一つの作品の構成がどうなっているとかこう言う考え方でつくっているとか、そこまで覚えているものではないの かもしれませんし。


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