日々の雑感(2013年10月〜12月)

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12月29日
今年のベ スト10冊はこういうかんじになりました。

いずれもブログに長めの感想を書いているのですが、とりあえず、短いコメントでも。

小川剛生「足利義満」中公新書:足利義満について、最近の研究動向を元にまとめ た一冊。中公新書の歴史物はあたりが多い気がする。
大内宏一「ビスマルク」山川出版社:「世界史リブレット人」からはこれ。ビスマ ルクの生涯と世界史の流れが巧く絡んでいると思う
クセノポン「アナバシス」岩波文庫:読み直したのは久し振りだったのですが、ド ライでシンプルな描写が印象的。
オルダス・ハクスリー「すばらしい新世界」光文社古典新訳文庫:「いいこと」に 対して声を上げ、反論するのは難しいよなあ。
ローラン・ビネ「HHhH プラハ1942年」東京創元社:今年読んだ小説の中 ではこれが面白かったな。歴史小説を読む人はこれ読んだ方が良いよ。
加藤九祚「シルクロードの古代都市」岩波新書:卒寿を越えてなお現役という著者 による現地の古代遺跡、最近の研究動向紹介。
平岡隆二「南蛮系宇宙論の原典的研究」花書房:こんなマイナーな本が手に入り、 読めるとは思わなかった。
メシャ・セリモヴィッチ「修道師と死」松籟社:一修道師の一人称で、心に秘めた 何かがあふれだし彼を変容させていく様子が書かれています。
チヌア・アチェベ「崩れゆく絆」光文社古典新訳文庫:伝統=善でないことは明か だが、一方的に西洋文明で塗りつぶしてしまうことがよいのか。
森谷公俊「図説アレクサンドロス大王」河出書房新社:著者が現地調査を行い東征 ルートを確定していくところが興味深い。

来年もおもしろい本が色々と読めることを願っています。実は昨日行ってきた読書系イベントで、翻訳物については来年出る(はずの) 書籍のリストをもらい、一人で眺めて悦に入っている最中だったりします。

12月23日
そろそろ今年読んだ本のベスト10冊をえらぼうかなとおもいつつも、まだ読んでいる本が色々とあるため、なかなか決めかねています。 去年は決めたあとでさらに追加という展開になりましたが、そういうことはないようにしたいです。大部分は決まっていますが、2,3冊 入れ替わるかもしれないので、もう少し時間をとろうと思います。

12月18日
終了日をむかえた「ターナー展」へ。しかしまあ、最終日だから平日にもかかわらずかなり混んでいました。そういうこともあり、 あまりじっくりと絵を見ることはできず。

「すべてを自分で体験したい」という感覚に、なんとなく気持ち悪さを覚えます。「すべて」を体験するために、あらゆる外部情報 をシャットアウトして得た体験をいくら積み重ねたとしても、そんな体験にどれほどの価値があるというのかと。自分だけ特別と 思ってるとしたら、それはとんでもない勘違いだろう。だいたい、自分の立ち位置も分からない状態でいくら考えたとしても、本当 に独創的な見解なんて出てこないですよ。

12月6日
久し振りに映画を見に行ってきました。見たのは「47RONIN」、これが「忠臣蔵」なのか…。まあ、浅野が吉良を斬り、切腹とか、 大石が浪人をあつめて吉良を討つといったポイントだけは「忠臣蔵」ですが、まるっきり別物のアジアンファンタジーという雰囲気 の映画でした。主人公(西洋人と日本人のハーフという設定)が赤穂の浪人たちと一緒に戦うようになるまでが何だか唐突な感じが 否めないです。というか、主人公が浅野に忠誠を誓う理由って何だろうか、よくわからないし。

怖いもの見たさで一度みてみるといいかもしれません。

12月1日
久し振りに展覧会をハシゴ。上野で1つ、六本木で2つ、さすがにつかれますね。

今日まで開催されていた東京国立博物館の京都展には洛中洛外図屏風がきていました。前期と後期で展示が入れ替わっているのですが、 今回は舟木本、池田本、歴博甲本、福岡市博本の4つでした(それ以外の3つは前期に来ていました)。京都の町並みのごく一部だけを 移した福岡市博本以外は京都のかなりの部分を眺めるような形で描かれています。屏風をもらった人達はこういう屏風をながめることの どこに楽しみを見ていたのか、そこのところが気になりました。屏風を向かい合う形で並べて、その間にいると上京と下京を大体一望 できるということですが、「ここには民衆の生活が描かれているぅっっっ」なんて現代の研究者のような視点で見ていたということは ないだろうとおもいますが、一体何に楽しみを見いだしていたんでしょう。

その他に思ったことを挙げてみると、注文した人の意図をこの画からどこまで読み取れるのでしょうか。狩野永徳が描いたといわれている 上杉本について、足利義輝が上杉謙信に上洛のメッセージを伝えるために注文して描かせたと言われています。しかし果たして受け取った側 がその通りに意図をくんでくれるのかどうか、はなはだ効果が疑わしく、なおかつまだろっこしい方法をとるのかという気もします。 そんな暗号めいたことをしなければいけないほど足利将軍家は何もできないような状態に追い込まれていたのでしょうか。周りの状況を 色々と読み込みすぎなのではないかと思ってしまうのですが。上杉謙信というのがどういう戦国武将だったのかということをきちんと確認 しないと何とも言えないような気がします(素人目には幕府のために忠勤に励んでくれるような武将だとはそれほど強く思えないのですが…)。

なんとなく、気軽に京都に行けない人達がいった気分になるための手段だったんじゃないかという気がするのですが、どうなんでしょう。

サントリー美術館の飛天をテーマにした展覧会では、メインには平等院のものが色々と並べられていました。現在修理中で春に完成するそう ですが、その時期をうまく利用した感じがします。飛天といっても、羽衣タイプ、雲タイプ、羽根タイプといろいろいるということがわかり ました。色々な物の説明がすべて飛天についてのことのみというのはどうなんだろうと少々引っかかるところもありましたが(その遺物の 由来とかの説明が一切無いことも)、意外と楽しかったです。

ここでよせばいいのに、3つめの展覧会へ。六本木の国立新美術館でスーラやゴッホの展覧会を見てきました。これはちょっと目が疲れた…。 色彩をよりはっきり見せるための色彩の配置の工夫がなされているだけに、目に来る刺激はかなり強く、途中からかなり疲れてしまいました。 それにしても、単なる色の点にすぎないものがある程度の距離をとるとちゃんとした形をくっきりと表しているのだから不思議な物です。 どうやってこれを描いたんだろうか。

11月15日
何だかここ一月くらい、妙に忙しくなったため、サイトの面倒をきちんと見ることができていませんでした。久し振りだなあ、 ここまで長期間中身を特にいじれなかったのは。

忙しいとは言っても、その間にいくつか本は読んでいたりします。夏に買ってからなかなか読み終わらなかったメシャ・セリモヴィッチ 「修道師と死」をようやく読み終わりましたが、もう一度読み直しています。オスマン帝国支配下のボスニアを舞台に、ある修道師が 弟の逮捕をきっかけに変貌していくようすを、修道師自身の語りと言う形で描いている話です。心理描写が濃密で、なかなか進まなかった のですが、半分過ぎたあたりから段々と動きが出てきます。もう一度読もう。ブログに一度感想を書きましたが、もう一度読んだらまた 感想を書き加えようかと思っています

あとは平岡隆二「南蛮系宇宙論の原典的研究」も読みました。たまたま発見して買ってきたのですが、これも面白かったですね。いまある ものが過去の何を元に作られてきているのか、そしてそれがその後どのように受け入れられていったのか、丹念に原典を探求しながら明らか にしていく本です。これもなかなか面白かったです。

ロナルド・サイムの下巻を買おうと思ったのですが、財布の中身が寂しく買えぬまま結構日にちが経ってしまいました。そのため、もう一度 上巻を最初から読み直した方が良さそうな感じになっています。こればかりはしかたがないですね。

10月11日
大学入試で人間力をみるようにしたいという話がちらほらと。「人間力」って一体何?と言う疑問はさておき、イメージとしては 内申書を重く見る公立高校の入試みたいな感じなんでしょうか。あるいは就職活動みたいなものでしょうか。

人物を見ると言うことになると、なんとなく郷挙里選とか九品中正と言った言葉が思い出されるのは私だけでしょうか。かえって 金太郎飴のような人材ばかりが集まるんじゃないかという気がしてしまいます。

この方法で入試をするとなると、内申書のようなモノを書く人は大変だろうなあと思います。そこで、そういう人のために黒を 白と言いくるめるような高度な修辞法をおしえる教室でも作ると意外と人が集まるんじゃないかなと思います。勉強だけじゃなく 課外活動なども頑張っていますというようなありふれた平凡なアピールであふれかえる中、ひと味もふた味も違う「人間力」を 表現できる文章があると、かなり目立つんじゃないかなあ。

あと、大多数がそうであろうと思われる、課外活動でも特に目立たず、勉強も平均的という生徒のために内申書らしきものを書く 時には、そういう修辞法を身につけているかどうかで、えらい差が付くんじゃないかなと思います。誇大広告といわれるかも しれないけれど、多少なりともアピールしておかないと、恐らくまともに見てもらえないんじゃないかとも思いますし。実際の 中身については、頑張って埋めてもらうしかないよなあ。

10月6日
終了間際の早稲田穴八幡の青空古本祭へといってきました。雨が降りそうで降らない微妙な空模様でしたが、ぶじに古本祭は開催されて いました。掘り出し物が意外とある古本祭なのですが、今回は赤鉛筆で少しばかり書き込みがあったために定価5000円を超える本がわずか 600円で販売されていたり、他所の古本屋では1000円をこえるものが300円(ただし傷有り)だったりしたため、これはここで買うしかな いだろう とおもってその場で購入しました。

その他、かなりレアな本も発見。ヨーロッパの学問が江戸時代に色々と形が変わりながら伝わっていった様子を書いた一冊です。この内容、 一般読者向けにかみ砕いて本を出してもらえるとありがたいなあと思います。本自体は相当レアなモノのようですし。

10月1日
本屋にて、ロナルド・サイム「ローマ革命」を購入し、ちまちまと読んでいます。大体一周目を読み終えたので、もうちょっと 丁寧に2周目を読もうかなと。軽くながして読んで終わって良い本と、そうでない本があると思っていますが、これは何度も 読み返さないとだめなタイプだと思う。流し読みでさっさと読み終わる本もあるのですが、そうでない本もありますし、なんか 途中とばして読んでもいいよなあと思う本もありますね。

しかし、本の値段も高くなりましたね…。でも、図書館で借りた本より、身銭を切って読んだ本のほうが何かと印象にはのこり 安いような気がします。そういう人は私だけでしょうか?

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