日々の雑感(2012年1月〜3月)

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3月30日
第九軍団のワシをみてきました。ネタバレっぽいの で要注意。

3月28日
えらく間が開いてしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

この間に、2つの展覧会を見に行ってきました。見た物は「ボストン美術館 日本美術の至宝」と「インカ帝国展」です。

ボストン美術館のほうは、フェノロサとかの関係で日本の仏像や書画骨董のたぐいが結構アメリカの方に持ち出されていた物からいくつかを 上野の国立博物館にもってきて展示している展覧会です。正直に言うと、「平治物語絵巻」が見られればいいかなと思って見に行ったので、 いまとなっては「平治物語絵巻」以外に何があったか、ほとんど忘れてしまいました。ほかにもなんかいろいろと絵画や刀剣、着物が展示 されていたようなのですが、どんなのがあったかなあ…。ま、「平治物語絵巻」はちょうど今大河ドラマでやっている時代と内容が関係する ので、見ておいてもいいんじゃないかなと思います。

「インカ帝国展」はマチュピチュを「発見」してから100年ということで開催された展覧会です。ミイラとか土器とかそういったものがきて いました。あと、インカというと良く出てくる「キープ」も展示されていました。名前は聞いたことがありましたが、単なる結び目のあるひもの 束にしか見えないこの物体が、様々な情報を含んでいると言うこと、これで情報のやりとりができたと言う事実に衝撃をうけました。こちらの 邦画結構面白かったのですが、動線が混乱気味だったという点は残念です。

3月18日
今日のネット上のニュースで見たのですが(どうももとは読売新聞らしい)、ウィリアム・マクニール「世界史」がうれているらしい。 確かに文庫本コーナーの今週のベストテンの1位とか2位につけているくらいですし、売れてるんだなあと漠然と思ってはいましたが30万部 売れているとは知らなかったです。読者層は30〜50代ということですが、まさかこんなに売れるとはねえ。

去年辺りは山川の教科書の旧版をちょこっと手直しした物が売れたり、なんかこう世界史の本に対する需要は一部の年代層にはあるようで すね。なんで山川の教科書やマクニールがうれるのかと不思議に思うかもしれませんが、手っ取り早く古い時代から現代までを眺めること ができるというのが大きいんじゃないかと思います。世界史というと全集物だと数十冊になり、とてもじゃないけれどそんなに読んでいる 時間的余裕がないという人はおおいですが、マクニールだと上下2巻、山川だと1冊で、手軽に世界史をみることができます。

あと、これらの本が「古い」歴史の本だということも実は大きいのかもしれません。「新しい」解釈とか記述についていけないと感じる人はいます し(イスラムや東南アジア関係の記述が増加し、そこで新たに大量の人名や地名、事項がでてきてついていけないとか、昔と言っていることが がらっと変わってしまって戸惑ったりする人は多いみたいです)。まあ、新しければいいという訳ではありませんが、もうちょっと違う見方に触れ てみてもいいのになあ

3月14日
えらく間が開いてしまいましたが、まあ、色々仕事もありましたので。

この間していたこととしては、久々に映画館に映画を見に行ったり、本を読んだりしていたくらいですね。見た映画は、シェイクスピアの 「コリオレーナス」(ただ、邦題が「英雄の証明」という意味不明なタイトルに変わってしまっていましたが…)です。現代世界をモチーフに した架空の世界(国の名前はそのまんまつかわれているけれど、人々の姿形や軍隊は現代そのもの)という設定で、高慢なマザコンのコリオレイナ ス の悲劇を描いてきます。物語後半ででてきた、金色の床屋椅子にすわり、スキンヘッドのとりまきにかこまれたコリオレイナスが、まるで 「300」の クセルクセスのように見えてしまいました。

面白いか、と言われるとちょっとどうかなあと言う所もありますが、「コリオレーナス」自体がものすごい面白いという感じの作品ではないような 気がするので、まあこんなものなのかな。

読書の方は、「物語近現代ギリシャの歴史」を読み終えました。近現代ギリシア史の本って、意外と貴重なので、関心があったら読んでみてはどう でしょうか。

2月26日
風邪は大部良くなりましたが、咳がまだまだ出ます。久々に泳いだら全然駄目です。ちょっと泳いだだけで腕と肩が重くなってきてしまって。

読書のほうは、蘇童「河・岸」をよんだり、ギリシア正教の本や近現代ギリシア史の本をちょこちょこと読んでいるところです。蘇童の本を読んで いて、なぜ水の世界は陸から差別されるようになったのか、その歴史的経緯が気になりました。なぜ陸上の世界から水上生活者は差別されたのか 等々、 陸から水、海をどういう風に見てきたのかと言うことについて、その辺りでよい本があったら教えて欲しいですね。

話は変わりますが、読売新聞の書評面で十字軍物語と「ビザンツ貴族と皇帝政権」をとりあげるそうです。ビザンツ帝国について、まるっきり扱い が異なる本が同時に載るわけですが、はたしてどうなる。

2月18日
ここのところずっと風邪気味。そのためあまり運動もせずに栄養補給ばかりしていたため、確実に太ったような気がする。咳が出るから のど飴をなめているのですが、それが栄養過剰摂取という観点からすると一番良くないとはおもっています。しかしなめないと喉がぼろぼろ なので…。

この状態で泳ぎに行くと、多分息継ぎした瞬間に咳き込んでゴボゴボと水を飲むという最悪の展開になるからなあ…。

そんなわけで、仕事と家事を除くと今は読書くらいしかすることもないのですが、サトクリフ「第九軍団のワシ」が面白かったなあ、うん。 来月映画も公開されるので、それに向けた準備と言うことで読みましたが、こういう王道展開な話ってのもいいですね。

2月9日
えらく間が開いてしまいましたが、この間は歌川国芳展にいくなど、ちょこちょこと外出していました。国芳展は尋常ではない混雑 でしたが、なかなか面白かったです。もっと深く楽しむには、軍記物や歌舞伎について読んだり調べたりして知っておいた方が良かった なと思いましたが、それがなくても楽しく見られる絵も展示されていました。あと、国芳さんはネコ好きだったのかな。

ネット上で見かけた話題ですが、古代ローマ史の本村先生が古代地中海文明の通史を全8巻で一人で書くという構想、本当に実現してほしい なあとおもいます。昨今の出版状況を考えると厳しいかもしれないけれど、なんとかしてもらいたいです。一冊数万だとさすがにちょっと 厳しいですし、一般的な会社勤めの人でも何とか継続して全部買いそろえられる程度の値段で収める方法はあるといいなあ、うん。まあ、 3000円超えると結構厳しくなるから、そこら辺が境界線のきがします。

1月31日
ここのところ、えらい寒い日が続いています。

先週は何かと飲み歩いてしまいましたので、今週はおとなしくしようかなと思います。体が資本ですからねえ。

読書の方は、ステイシー・シフ『クレオパトラ』(早川書房)を読み終わったくらいです。ウェブ上の“ローマファン”からはまたかと 言われる内容もありますね。ただ、自分たちの知っていることは皆が知っているとは思わない方がよいかなとおもいます。実際にこの本 を読んでそういうことだったのかと知った人もいるようですし(こ ちら)。個人的には、何だかんだと言って、この人の死は一つの時代の区切りにはなると思うので(東地中海世界におけるギリシア・ マケドニア系国家の時代の終焉とか、東西地中海世界が一つの国家によってまとまった時代の始まりとか)、それなりに注目されてもいいと思うけ どね。

だいたい、いくら「ローマ人の物語」があるとか「テルマエ・ロマエ」があるといっても、それは往々にして面白い物語、面白い漫画として消費さ れるだけで、ローマ史が面白いとかローマ史が好きという方向にはなかなか向いてくれない事の方が多いですからねえ。

話はそれますが、漫画や小説からある時代や人物について興味を持った人に対して、うかつにちょこっとだけ詳しい感じの歴史の話 をすると大変面倒なことに巻き込まれたりすることもありますし(ネタバレするなっていわれるからなあ…)。

1月27日
すっかり間が開いてしまったような気がします。

この間、特に何か忙しかったというわけではないのですが、帰宅時間がものすごい遅いわけでもなく、かといって早いわけでもなく、 中途半端な感じで、色々なことをやりたくでも、どうもうまくいかないという状態でした。

まあ、更新は遅れていますが、読書は少しずつしています。フォークナーとかシフをようやく読み終わったので、そのうち更新しよう。

1月14日
ふと思い立ち、赤坂ACTシアターへ。何を見たかというと、「モンティ・パイソンのスパマロット」というコメディミュージカルです。

「モンティ・パイソン アンド ホーリー・グレイル」を元ネタにして作ったミュージカルですが、随所に楽屋落ちやらパロディやら諷刺やら をぶち込んだコメディです。終盤に予想外の演出がありましたが、あれはびっくりだったなあ(言うとネタばらしになるから言わんけど)。 ミュージカルというか何となく小劇場系っぽい雰囲気もありましたが、やっている人達の影響だろうなあ、うん。気楽に笑って過ごすには ちょうど良かったです

最後はやはり"Always look on the bright side of life"で締め、ですね。

あ、そうそう、結構世相に絡めた色々な皮肉やパロディも鏤められた本作ですが、「コリアンパワーで人気者」は元ネタを日本用に翻案した 皮肉だから、よい子のみんなは赤坂でデモとかやらないでね。

1月7日
先日行くのを諦めた「北京故宮博物院200選」を見に行ってきました。

展覧会自体は待ち時間なし、しかし期間限定でやってきた「清明上河図」は80分待ちという状態で、80分も待っていられないので「清明上河 図」 はパスしました(で、あとでパスしても問題無かったことが判明します)。前半は書画を中心にした展示で、実はこの辺はかなり軽くスルーして しまいました。どうも書については未だによく分からないというか…。モノとちがってあまり惹かれないんだよなあ…。そのまますすんでいくと、 「清明上河図」展示コーナーへ。実際の所「何が描いてあるか」と言う点をじっくり見たいのなら、レプリカで事足りる画だったりします。さら に、行列の隙間からちょろっとのぞき見することもできたりします(実際、拡大鏡(よく美術館でこれを持っている人がいます)を使って行列の 後ろから見ている人もいました)。そんなわけで、「清明上河図」はちょっと見た程度でスルーし、第2部の展示へ。

第2部の方に写ると、個人的に心惹かれるモノが色々とありました。殷時代の不思議な文様の青銅器、宋の青磁、青花等々の器ときて、清朝関係の 展示へと突入。雍正帝のコスプレみたいな画像集(それにしても父子そろってこういうのがすきなんでしょうか?父子2代でチベット仏教の僧侶の 姿や漢人の姿をしている自分の姿を描かせています)、清朝皇帝の衣服や鎧(乾隆帝の鎧は、彼の肖像画に書かれた物と同じモノがきていまし た)、 チベット仏教の仏像や仏具等々のほか、乾隆帝の肖像画にでてくるモノの実物を展示してあったりと、なかなかこちらの方は興味を持ちやすいモノ がならんでいました。あと、教科書にでてくる清朝時代の氷上軍事演習の画の元ネタらしきものも発見しました。

個人的には第1部よりも第2部のほうがおもしろかったです。美術的価値で言ったら第1部なのかもしれませんが…。

1月5日
午前中に用事を済ませ、午後に神保町へ。本屋を見ていて「古代文化」の新刊を発見して購入しました。基本的には日本古代史関連、日本 考古関連の記事が多い雑誌ですが、時々ギリシア・ローマ関係の論文も掲載されています。今回はなんと、フィリッポス2世の墓ではないか といわれているヴェルギナ王墓についての論文が掲載されていました。

内容としては、アンズロニコスによる発見と被葬者断定(これが少々性急だったのが後で問題になったみたいですね)、そしてそれに対する 反論や支持、王墓被葬者の特定の根拠となる事柄の整理、現状ではどのように考えるべきか著者の結論が最後にまとめられている、そのような 構成になっていました。

ヴェルギナ王墓の2号墓について、被葬者がフィリッポス2世なのかフィリッポス3世なのかをめぐって長年もめていて、この論文ではフィリッポ ス 2世じゃないかという形で締めくくられていました。こういうのも手に入ったし、昔、ヴェルギナ王墓について適当に書いて アップした記事にかなり手を入れて改訂版を作ってみようかな。歴史関係の記事を新しくアップする時間がとれればそうしたいけれど、とりあえず リハビリがてら改訂版作成辺りから再開してみることにします。

「ヒストリエ」関連の方向に無理矢理話を持って行くと、2号墓主室から発見された鎧や兜などの武具一式について、実はアレクサンドロス 大王の武具じゃないかという説があり、その根拠としてエウメネスがアレクサンドロス大王の武具を持ち出したと言う話(ディオドロス18巻に でてくるそうです)が挙げられていました。エウメネスが持ち出した武具がまわりまわってフィリッポス3世(アッリダイオス)の手に渡り、 そのまま墓に納められた、そういうことになるようです。なんかこじつけっぽい気もしますが、もし本当に出土した武具一式がアレクサンドロス 大王の物だとすると面白いですね。個人的にはアレクサンドロスの兜は石棺のやつみたいなライオン型であってほしかったりしますが(笑)、 まあそのへんはいいや。

それにしても、武具一式がヴェルギナ王墓にあるといわれたり、遺体がヴェネツィアのサン・マルコ聖堂にあるといわれたり、大王もなかなか 大変ですね。

1月2日
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

初詣もかねて上野へ。国立博物館を見た後へ寛永寺へ行ってきました。まあ、それは普通に初詣で言ったので、特に書くことはありません。

国立博物館に行ったのは、この日から「北京故宮博物院200選」なる特別展が始まっていたためで、パスポートの更新もかねて見に行こうと思い 博物館まで行ってみました。しかし50分待ちというプラカードを見た瞬間に、今日はもういいやという気分になり、通常展の方を見ることにして 本館へ行きました。

で、毎年、その年の干支にちなんだ特別展をやっているのを思い出したため、今回はそれを見ることにして2階へと上がると、これもまた非常に 混雑しています。やはり正月三が日は行くところがあまりないのか、普段はそんなに来ないであろう人達も博物館に大挙して押し寄せたみたい です。展示自体はなかなか面白かったです。辰年ということで龍にちなんだ物が色々と並んでいましたが、江戸時代の自在置物(今のガンプラ みたいなものか?)や、龍を題材にした画、そして龍をあしらった衣服(何となくアメ横界隈で売っているスカジャンを思い出してしまいました) 等々が展示されており、思った以上に見て楽しめました。

月末辺りまでやっているので、もう一度人が少なそうな所を見計らって見に行ってこようと思います。写真も撮れたらとってこようかと思います が、そろそろ新しいデジカメに買い換え、それの試しもかねて行く予定です。

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