参考にした本と今後役立ちそうな本


ここでは、サイトを更新するときに参考にしたり、マケドニア史やヘレニズム世界について参考になりそうな本を紹介していこう と思います。なお、私個人の事情により、つまみ食い的にしか読んでいない本も多数ありますが、時間があったら通読してみると 良いのではないでしょうか。


(地図、図版作成に関 してサイト作 成時に参 考にした本(一部の記事を書くときにも参考にしてます))

森谷公俊「ア レクサンドロス大王」(講談社選書メチエ)
ピエール・ブリアン「アレクサンダー大 王」(知の再発見双書)
有坂純「世界 戦史 世界を変えた7つの戦 い」学習研究社(学研M文庫)
市川定春「古 代ギリシア人の戦争 会戦事典800BCー200BC」新紀元社

(マケドニア史の概説書や論文集)
Adams,W.L. and Borza,E. (ed.)  Philip II ,Alexander the Great and the Macedonian heritage (1982,Washington,D.C.)
*フィリッポス2世以前のマケドニアからアンティゴノス朝までの幅広い時期に ついての 論文集(以下、Adams and Borzaと略)。

Borza,E.  In the shadow of Olympus : the emergence of Macedon  (1990,Princeton)
*マケドニアの地誌、民族、アレクサンドロス1世からフィリッポス2世の時代 までのマ ケドニア史に関してかかれた概説書。

Carney,E. Women and monarchy in Macedonia (2000, Oklahoma)
*アルゲアダイからアンティゴノス朝までのマケドニアの王族女性について、一 人一人の 生涯を史料を基に再構築し、さらに マケドニアの王権と女性の関係について論じている。エジプト王妃アルシノエ2世のように一時的にマケドニア王妃だった人物も取 り上げている。

Errington,M.  A History of Macedonia (1990, Berkeley/LosAngels)
 マケドニア王国史に関する概説書。マケドニアの国制に関して、ま たフィ リッポス2世に関する記述でかなり参考にしました。ディアドコイ戦争以降の記述でも 頻繁に参照する予定。

Hammond,N.G.L.  A History of Macedonia 3vols.
   (1972 (vol.1), 1979 (vol.2,with Griffith,G.T.), 1988 (vol.3, with Walbank,F.W.), Oxford)
マケドニア史の大家である故HammondがGriffith(第2巻)と Walbank(第3巻)と共著の形で出したマケドニア史の通史。有史以前のマケドニアから、ローマによ る征服までの時代を対象として書かれています。当サイトでも必要なときに色々と参考にしながら書いています(特に第3巻は重宝しています)。

Hammond,N.G.L.  The Macedonian state (1989,Oxford)
マケドニア史に関する全3巻の通史を著したHammondがその内容を一冊に まとめた もの。マケドニア王国の開発などにかんしてかなり詳しくかかれてい る。これもまたディアドコイ戦争以後のマケドニア史に関して参照する予定。

Hatzopoulos,M.B.  Macedonian institutions under the kings(2vols.) (Paris,1996)
マケドニア王国の国制について、近年数多く発見された碑文などを用いながらア ルゲアダ イからアンティゴノス朝までの時期のあり方を書きだした本です。本当はもっと参考にしたいのですが結構読むのに骨が折れます。
 
Heckel,W. The Marshals of Alexander's empire (1992, London/NewYork)
アレクサンドロス大王の東征軍に従軍した将軍、指揮官についてのプロソポグラ フィ。 フィリッポス2世に使えた将軍についてもかなり詳しくかかれています。

Heckel,W.   Who's who in the age of Alexander the Great (2006,Blackwell)
上述のThe Marshals of Alexander the Greatがアレクサンドロスの東征に関わった将官に絞っているのに対し、こちらは東征に関わった様々な人々を扱う人名辞典です。 ギリシア・マケドニア人だけでなくペルシア人など東方系の人々についても項目が立てられています。もっとも、このサイトにあ る人物紹介の記事執筆には全く使っておりません(書いたときにはまだこの本でてませんでしたから)。

Heckel,W. & Jones ,R. Macedonian Warrior Alexander's elite infantryman ( 2006, Osplay)
マケドニア密集歩兵部隊を専門的に扱っ た著作。 一応復元イラストも付いているので、どのような部隊だったのか想像しやすくなると思われます。


(フィリッポス2世に関して)
Cawkwell,G.  Philip of Macedon (1978,London)
フィリッポス2世に関する研究書。フィリッポス2世の時代の軍事やフィリッポ スの政策 に関して参照することがおおかった記憶があります。

Ellis,J.R.  Philip II and Macedonian imperialism  (1976, Thames&Hudson, London)
これもフィリッポス2世に関する研究書。フィリッポス2世がいつ頃からペルシ ア遠征を 構想していたのか、またフィリッポスとアテナイの関係などで独特のスタンスをとっているようです(二重覇権説や、前340 年代前半に遠征構想を遡らせるなど)。

Hammond,N.G.L.  Philip of Macedon  (1994, Baltimore)
近年の研究動向をふまえてかかれたフィリッポス2世に関する伝記。フィリッポ スによる マケドニア王国開発に関する記述がかなり多くかかれています。

Worthington,Ian  Philip II of Macedonia  (2008,Yale Univ.Press,New Heaven&London)
これまでの研究動向をふまえてかかれたフィリッポス2世に関する伝記。フィ リッポスに とり、 アテネ(特にデモステネス)が大きな存在であったようです。なんとなく、アレクサンドロスよりフィリッポスを高く評価している ような気がします(実際、そう言う所はあると思いますが)

澤田典子 フィリポス2世の対ギリシア政策、「史学雑誌」102-7号(p1-41)、 1993年
フィリッポス2世が前346年にフィロクラテスの和約を結ぶ頃のマケドニアと ギリシア の関係に関する論文。
 
澤 田典子 マケドニア王家とオリュンピア祭、「人文論集(静岡大)」58(1)(p77-97)、 2007 年
マケドニア王家とオリュンピア祭の関わりについて扱った論文。なお、アレ クサンドロス 1世のオリュンピア祭参加を事実とする立場を
採っています。

原随園 「アレクサンドロス大王の父」新潮社、1974年
 日本語で読める唯一のマケドニア史概説がついた、フィリッポス2 世の伝 記。内容的には上記の洋書と比べて古くなっている箇所もみられますが、大筋では参考になりました。

森 谷公俊 「王妃オリュンピアス」ちく ま書房(ちくま 新書)、1998 年
アレクサンドロス大王の母オリュンピアスに関する伝記。フィリッポス2世暗殺 やマケド ニアの一夫多妻制についてまとまった記述があり、参考になりました。

森 谷公俊 “フィリッポス二世の暗殺とアレクサンドロ ス”「歴 史学研究」 689号 (1996年pp.16〜31,64)
   フィリッポス2世暗殺に関する論文としては、一番最近の物だ と思われます。最近の研究動向をまとめた感じの内容です。   

森谷公俊 前350年代前半のフィリッポス2世とテッサリア ーギリシア征服への序 曲ー、「人文学報」(都立大) 229号1992 年(p63- 112)
森谷公俊 第三次神聖戦争の勃発とテッサリア連邦、「史学雑誌」104-6号 (p34-54)、 1995年
どちらも、フィリッポス2世とテッサリアの関係についてまとめられた邦語文献 として読 んでおくべき物でしょう。


(アレクサンドロス大王について)
*邦語文献は読書コーナーの一括紹介その1を参照。ここでは 洋書を載 せておきます。
Bayham,E.&Bosworth,A.B.(eds.)  Alexander the Great in Fact and Fiction (Oxford Univ.press,Oxford,2000)
アレクサンドロス大王に関して近年発行された論文集。

Blackwell,C.W.  In the absence of Alexander (Peter Lang,Bern, 1999)
アレクサンドロス大王不在時のギリシアとマケドニア関係、そしてハルパロス事 件につい て扱った研究書です。

Bosworth,A.B.  Conquest and Empire (Cambridge,1988)
アレクサンドロスに関する伝記的研究として、まずこれは参照しておいた方がよ いでしょ う。

Bowden,H.Alexander the great:a very short introduction (Oxford Univ.Press,2014)
オックスフォード大学出版局から、Very Short Introductionsというシリーズが出ています。 そのシリーズからアレクサンドロス大王を扱った巻が刊行されました。同時代の人々がアレクサンドロスについてどのように考え ていたのかをみていこうという姿勢でまとめられた入門書です(なお、日 本語訳が2019年に刊行されています)。

Cartledge,P. Alexander the Great :The hunt for a new past  (The Overlook press,Woodstock&NY,2004)
アレクサンドロスについて、近年の研究をもとにテーマ別に章立てして書かれた 本。おす すめ。

Corrigan,D.M.  Riders on high : an interdisciplinary study of the Macedonian cavalry of Alexander the Great  (diss. Univ.of Texas,2004)
マケドニアの騎兵について、馬の種類の話から、実際の戦闘の話等々をあつかっ た学位論 文。時々参考にしている程度。

Dahmen,K.  The Legend of Alexander the Great on Greek And Roman Coins  (Routledge, London&NY,2007)
アレクサンドロスの図像を刻んだ後世のコインやメダルについてまとめた本で す。後の時 代の貨幣がどういう背景でアレクサンドロスの図像を用いたのかといったことを書いているようです。

Engels,D.W.Alexander the Great and the Logistics. of the Macedonian Army   (Univ.of California press, Berkeley & LosAngels, 1978)
アレクサンドロスの東征中の行軍ルートや兵站についての研究です。アレクサン ドロスが どのような考えの基に遠征ルートを選択していたのかを知ることができます。

Green,P.  Alexander of Macedon : A Historical Biography  (Univ.of California press, Berkeley, 1992 (Pap.edition))
これもBosworthの本同様に参照しておいた方がよいアレクサンドロスの 伝記本で す。

Hammond,N.G.L.  Alexander the Great  (London,  1981)
アレクサンドロス大王の伝記本。見た感じでは軍事関係の記述が、著者自身の実 地検分な どをもとに詳しく戦闘の展開を書いていたりします。アレクサンドロス大王像の書き方は伝統的なものですが、これも参照すべき本です。

Hammond,N.G.L.Three Historians of Alexander the Great (Cambridge Classical Studies) (Cambridge,1983(rep.2007))
ディオドロス17巻、クルティウス、ユステイヌスについて、それぞれどのよう な原典史 料を用いて書かれたのかを詳細に分析した本です。背景について知りたいときはまず見るべきでしょう。

Hammond,N.G.L.Sources for Alexander the Great (Cambridge,1993)
Three Historians以外の大王伝であるアリアノスとプルタルコスを取り上げ、同様の分析を施した本です。これも必須かな。

Heckel,W. In the Path of Conquest:Resistance to Alexander the Great (2020,Oxford)
アレクサンドロスの東方遠征を、実際に戦ったダレイオス3世やペルシア人、ポ ロスなど彼と 戦った人々から、一旦服属して反乱を起こしたスピタメネスのような人、さらに東方遠征において彼の路線に対し反発を覚えた マケドニア貴族や将兵たちなど、彼に抵抗した側の視点から見ていこうとする一冊です。ブ ログに 感想があります。

Holt,F.L.  Into the land of bones:Alexander The Great In Afghanistan (Hellenistic Culture and Society)  (Univ.of California Press,Berkeley,2005)
アレクサンドロスのソグディアナやバクトリアにおける活動について、 アレクサ ンドロス 以前の状況から筆を起こし、その後の状況にも触れていきます。19世紀のイギリス、20世紀のソ連、21世紀のアメリカの軍事作戦など、現代 になっても戦 乱の舞台となったアフガニスタンについて理解する上でなかなか面白い本だと思います。

Holt,F.L.The Treasures of Alexander the Great (Oxford University Press,New York,2016)
アレ クサンドロス東征を通じて、大王がどのような形で富を獲得していったのか、それを何に使っていたのか と言ったことを解き明かしていく本です。各地域で貴金属だけで無く家畜や食料、馬匹、奴隷など様々なものを得ていることや、それに ともなう略奪や破壊も頻発していることなどが、様々な史資料を基に描かれています。こうしたものから描かれる大王像はかなり ネガティブなものです。
感 想 はこちらにもあります。

Lonsdale,D.  Alexander the Great,killer of men:History's Greatest Conqueror and the Macedonian Art of War  (Carroll & Graf Pub,NY,2004)
アレクサンドロスについて軍事学者の方から簡潔にまとめた著作です。 歴史的背 景がわか りにくいものの、軍事に関して概要を抑えたい人にお勧め。

Roisman,J.(ed.)  Brill's Companion to Alexander the Great  (Brill,Leiden,2003)
アレクサンドロスに関して色々と研究が進んでいますが、これは最近出 された個 別論点に 関する論集です。


(ディアドコイ戦争、アンティゴノス朝について)

*主にこれらの本を参考にして書いています。また、少しでも参考にした物も載っていたりします。今後も増える可能性大です。 なにせ、かなり前に入手したHabichtの論文集とか、オーフス大から出たヘレニズム関係のシリーズ物とか、アンティゴノス朝の 貨幣についての論文が載っているヘレニズム時代の経済に関する本とかサイトの記事に使おうと思いつつ使ってない物が山ほど あったりするのでノ(なんか学生時代より本を買ってる気がする)。

Anson,E.M.  Eumenes of Cardia -a Greek among Macedonians-(Brill academic pub. Boston/Leiden, 2004)
「ヒストリエ」の主人公であるカルディアのエウメネスについての伝記 的研究。 うちのサ イトの別コーナーで最近年代をこれに合わせて変えたりしています。

Billows,R.A.  Antigonos the One-Eyed and the creation of the Hellenistic State(California,1990(paperback 1997))
エウメネスと戦い、後継者戦争で中心的な役割を果たした隻眼のアン ティゴノス について の伝記的研究。アンティゴノスについて従来言われていた帝国全土の継承を狙っていたという見方を変えた一冊。

Bosworth,A.B. The Legacy of Alexander (Oxford,2001)
アレクサンドロス大王が死んでから、ヘレニズム世界ができるまでの時 期につい て扱った 本です。マケドニアの人的資源の問題についての章があるほか、エウメネス対アンティゴノスの戦いについて1章割いているなどなかなか興味深い です(年代に ついてはこれについている編年はうちのサイトではあまり採用していません)。

Burnstein,S.M. "Arsinoe Philadelphos: A Revisionist View" in Adams and Borza
プトレマイオス2世の王妃アルシノエ2世について書かれた論文。

Devine,A.M. "Diodorus's Account of the Battle of Paraitacene",Ancient World 12, p75-p86
Devine,A.M. "Diodorus's Account of the Battle of Gabiene",Anciet World 12, p87-p96
以上2本はエウメネスとアンティゴノスの間で起きた2つの会戦につい て分析し た論文。

Gabbert,J.  Antigonos Gonatas : a political history  (Routledge,1997)
アンティゴノス朝マケドニアを実質的に確立したアンティゴノス2世ゴ ナタスに ついての 政治史中心の伝記的研究。ページ数の少なさが、ゴナタスの時代を復元できる材料の少なさを物語っているような気がします。読むべきですね。

Hatzopoulos,M.B.  L'organisation de l'armée macédonienne sous les Antigonides (Paris,2001)
アンティゴノス朝マケドニアについては近年碑文史料を基に研究が進め られてい ますが、 これはアンティゴノス朝時代の軍事関係の碑文を元に、当時の軍政がどうなっているのかを書いた本です。仏語を読むのに手間取っているため、つ まみ食い的に しか見ていませんが内容は豊富です(何せ史料が全部ついてますから)。

Ma,J.  Antiochos III and the city of western Asia Minor (Oxford,2000)
紀元前3世紀後半から2世紀前半にかけてセレウコス朝を支配し、ロー マとも 戦ったアン ティオコス3世と小アジアの都市の関係についてまとめた本です。フィリッポス5世の小アジアでの作戦行動を調べるときに参照しました。
Roisman,J. Alexander’s Veterans and the Early Wars of the Successors (University of Texas Press,Austin,2012)
アレクサンドロス東征の中核を担ったマケドニア軍古参兵の動向を、歩兵に絞 り、エウメネスの銀盾隊のその後あたりまでを 探っていく一冊です。解き明かされた古参歩兵は現実の政治や軍事に関わる場面ではその場を決定づけるような力を振るえる存在ではなく、表舞台 から姿を消して 行くと言うところになんとなく寂しさを感じる一冊でした。感 想はこ ちら

Scullard,H.H.  The Elephant in the Greek and Roman World (Thames and Hudson,London,1974)
古代ギリシア・ローマ世界における象についての概説書。以前、戦象に ついての 記事を書 くときにちょっと眺めてみました。

Walbank,F.W.  Philip V of Macedon  (1967,Archon press( 1940, Cambridgeのリプリント版) )
マケドニア王フィリッポス5世についての伝記的研究。内容的には少々 古くなっ ており、 著者本人が別の本で見解を修正した箇所もあったりしますが、一応サイトの記事を書くときに軽く目を通しています。

Walbank,F.W  A Historical Commentary on Polybius  (3vols,Oxford,1957-1979)
ヘレニズム世界の歴史について重要史料であるポリュビオスの注釈書。 やはりこ れは必要 になります。

(その他、邦語の文献はこんなものを参照)
有坂純 「アレクサンドロスを継ぐものは誰か」、「歴史群像」12月号(2004年)、66〜80頁
長谷川岳男  フィリッポスV世とフティア-前230〜220年代のマケドニアをめぐって-(共著) (古代地中海世界,清水弘文堂 、1993 )
長谷川岳男 「マケドニアとローマ ーその対立の構図」、 歴史評論 (1996 ) / 547 , 37-50
長谷川岳男 「アンティゴノス朝マケドニアのギリシア「支配」-その認識の虚像と実像-」古代文化 (1996 ) 48 / 3 , 1-16
長谷川岳男 「 ヘレニズム期の王妃たちはいかに描かれたか-西洋古代における王権とジェンダー研究序説-」歴史学研究 (1997 ) / 704 , 12-23,46
吉村忠典拠「支配の天才ローマ人」、三省堂、1981年
ウォールバンク「ヘレニズム世界」、教文館、1988年
ターン「ヘレニズム文明」、思索社、1987年

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