「ヴァン・ヘルシング」感想


久しぶりに見た映画は、先行上映の「ヴァン・ヘルシング」です。とりあえず思いついたことなどを つらつらと書いていこうかと思います。

物語はまず、フランケンシュタイン博士による人造人間作りが成功して、それが完成したところから始まり ます。で、フランケンシュタイン博士はドラキュラのサポートを受けて人造人間をつくるのですが、それを どうするのかをめぐってドラキュラとけんかして殺されます。しかし人造人間はドラキュラの手を逃れる事 に成功します。この辺は白黒で描かれていて、ボリス=カーロフやベラ=ルゴーシのころのホラー映画 のような雰囲気を出しています。フランケンシュタインの造形もロバート=デ=ニーロが演じたものとは ちがって、かなり昔のホラー映画の物に近い作りになっています。

それから1年後、パリにおいてひとりの賞金首と一人の怪人が戦っています。怪人の名はハイド、賞金首は ヴァン・ヘルシング。ヘルシングというとドラキュラ物の創作には必ず名前が出てくるドラキュラの天敵の ような存在ですが、通常の作品のような老教授ではなくヴァチカンの密命を受けて各地で怪物と戦うハンター として描かれています。結局ハイドはヘルシングに倒されますが、死ぬ直前にジキル博士に戻っており、 ヘルシングは警察から人殺しとして追いかけられる羽目になります。で、ヘルシングの格好ですが、どこだった のか思い出せませんが「バンパイアハンターD」にそっくりと書かれていました。黒ずくめでつばの大きな 帽子をかぶり、髪型は長髪・・・たしかに 全体的ににているかもしれません。ただ、ヘルシング役はヒュー=ジャックマンなのでもっとごつい感じ になっています。

派手なバトルの末にハイドを倒してヴァチカンへ戻ったヘルシングに新たな任務が与えられます。新たな任務 はトランシルバニアにおいて吸血鬼と戦い続けるヴァレリアス一族の末裔アナを助け、敵の首領ドラキュラを 倒すことです。ヴァチカン滞在中の場面において、ヘルシングがモンスターと戦うのは何故なのか少しばかり 情報が出てきますが、記憶をなくしてヴァチカンの教会の前に倒れていたところを枢機卿に拾われて秘密機関 にいれられたこと、ときどきマサダ要塞攻防戦の夢をみることなどがわかります。しかしマサダ要塞の夢を時々 みるということに何か意味はあったのかちょっと疑問が残ります。

ここでヴァチカンの秘密機関の武器工房なのか研究施設なのか分かりませんがとりあえずアジトのような物 がでてくるのですが、あきらかに他の宗教(仏教か?)の関係者のような格好の人々が働いています。ローマ 教会は異端審問だの何だのやっていますが、自分の所では何をやっても良いのでしょうか。そんなどうでも 良いところに突っ込みを入れつつ見ていると、なにやらどこかで見た顔が・・・。「ロードオブザリング」の ファラミア役のデビット=ウェンハムが怪しいことをしている・・・。今回演じているカールはファラミアの ような役ではなく、怪しい武器を作ったりするちょっとギャグキャラっぽい主人公の仲間役なので、ファラミア のイメージで見るとちょっとびっくりするかもしれません。

ヘルシング一行がトランシルバニアへ向かっている頃、現地では、事態はかなり深刻なことになっていました。 狼男を倒そうとしてアナは兄と一緒に罠をかけるのですが倒し損ねて兄は行方しれずに、ついにヴァレリアス 一族は存亡の危機に追いやられます。そんなときにヘルシング一行が到着、アナに会って間もなく、ドラキュラの3人 の花嫁たちとのバトルに突入します。ここでカールの開発した連射式ボーガンをバンバン撃って撃って撃ちまくる のですが相手は何せ吸血鬼なのでそう簡単には死んでくれません。見ているとどうもドラキュラではなくアナ目が けて撃っているような感じに見えてしまいます。ドラキュラの花嫁の一人を倒したあと、アナの城に招かれ、そこ に滞在することになります。そして城滞在中に狼男がおそってくるのですが、その狼男の正体は実は行方不明に なったアナの兄でした。月がかげると人間の姿に戻れるのですが月の光を浴びると狼男になってしまいます。人 からオオカミに代わるシーンは特撮であれCGであれ腕の見せ所だとおもいますが、皮膚がぼろぼろとむけながら オオカミになるというのはどうかと・・・。脱皮じゃないんだからなんとかならないんだろうかと。あと、何となく 「ハムナプトラ」のアヌビス神と狼男の目つきがにているような気がしました。監督が同じなので気のせいかもしれ ませんが。アヌビスだなあとおもってみてましたが。

その後ヘルシングとアナは廃墟となった城へ向かうのですが、そこではドラキュラが怪しげな実験をしていました。 アナの兄をなにやら妙な機械にくっつけてスイッチをオン、さらに稲妻直撃、するとアナの兄の生命エネルギーと 電撃が一緒くたになった?物が流れてます。そしてエネルギーが流れ込んだ先には怪しい繭があり、繭から孵った ものはドラキュラの子供たちでした。ただしそれでは不十分だったためか、生まれてきた子供達は次々に死んでし まい、結局ドラキュラの試みは失敗に終わります。この城においてヘルシングとドラキュラが遭遇し、ドラキュラ がヘルシングの過去を知っているというような思わせぶりなことを言うのですが、その後彼の過去や記憶について はっきりとしたことは映画の最後まで示されませんでした。結局この映画を見ただけではヘルシングの過去につい てはあまりよく分からないまま終わりました。色々思わせぶりなことをドラキュラに言わせたり、マサダ要塞の夢 を見るなんて言うことを言わせているのに、結局そう言う終わり方になったということは、ひょっとしたら続編を つくることを前提にしているのではないかという気がします。ヘルシングの指輪がかつてドラキュラの物であった ということも分かりますが、なぜドラキュラがヘルシングに500年以上前に倒されたのか等々分からぬ事が多かった ので、その辺をネタにして映画を作れそうな感じです。

少々話が先走りすぎたので戻すと、廃墟から逃げる途中で焼けた風車小屋の後にたどり着き、そこの地下において フランケンシュタイン博士が作った人造人間(以下フランケンシュタイン)に出会います。見た目は醜いフランケン シュタインですがヘルシングは彼は悪ではないと直感的に認識、さらに彼が鍵となることがわかってきます。一方で フランケンシュタインがまだ存在することがドラキュラにも知られ、その後ブダペストあたりまで逃げてきたものの フランケンシュタインはドラキュラに奪われてしまいます。またその途中で狼男とヘルシングが戦うことになり、 狼男を倒したもののヘルシングは咬まれてしまい、満月の晩までに何とかしないと狼男となってしまうというかなり 危険な状態に陥ります。この時に狼男と化していたアナの兄は死ぬわけですが、もう一寸狼男の登場シーンを増やし たり、キャラクターとしてもっとしっかり書いてほしかったと思います。狼男はアナの兄が怪物にされてしまった 物ですし、フランケンシュタインは博士によって人工的に作られた怪物、敵役のドラキュラも実はヴァレリアス一族 の長老の息子であり、それがあのような化け物になったというわけで、もとをたどるとみんな人間から怪物になって しまったという点では共通していますし、それなりの背景を皆背負っているようですので、もう少しキャラクターを 掘り下げて書いてみるとか、人間は皆怪物になりうる物だという点を強く打ち出してみるとか、そう言った人から 生まれた怪物を撃つヘルシングなどの側に葛藤はないのか等々のことも入れてみても良いのではないかと思います。

ドラキュラがフランケンシュタインを求めた理由は、フランケンシュタインの生命エネルギーを使って自分の子供達 に命を与えるためでした。しかし、なぜわざわざ人造人間の形にしてからでないといけないのか、そこのところが 映画を見ていても今ひとつよく分かりませんでした。そんなこんなでヘルシング一行とドラキュラの最後の戦いが 始まり、最終的にはヘルシングはドラキュラを倒し、さらに狼男と化した者を元に戻せる薬も手に入れてそれにより ヘルシングも元に戻ります。狼男化したヘルシングと化け物としての実態を見せたドラキュラの戦いはなかなかの迫力 だとはおもいましたが、なぜ狼男ならドラキュラをかみ殺せるのかなどの疑問が残ります。特に特殊な力を使ったよう な感じではなく、ただただ狼男化してパワーでもって相手を圧倒しただけのようにしか見えないので・・・。 ヘルシングはドラキュラに勝利したもののアナはヘルシングを元に戻そうとしたときに死んでしまいます。死ぬ前までは 吸血鬼と激しいバトルを繰り広げ、壁に投げ飛ばされて打ち付けられようが立ち上がって戦っていたのに、狼男化 したヘルシングに吹っ飛ばされただけで死んでしまうというのはどうも腑に落ちませんでした。ヒロインを 無理矢理悲劇のヒロインにしようとしているのか、なんかちぐはぐとした感じは否めませんでした。まあ、ストーリー を楽しむ映画と言うよりもアクション重視の映画だとおもうので、その辺はしょうがないのかもしれません。


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