細川家の至宝を見る


ゴールデンウィーク真っ最中の5月3日、月曜日ですが祝日のため、東京国立博物館は開館日でした。そこで、ひさしぶりに特別展を見るべく、 当初予定より1時間以上遅く家を出ました。何を見るために言ったのかというと、「細川家の至宝」展を見るためでした。

目白にある永青文庫には、細川家に代々伝わる美術・工芸品や武具から、細川護立の時代に集められた近代日本美術から東洋美術、そして 細川家で保管されている様々な文書が収められており、展示会が開かれるなどして、多くの人に開放されています。そして、今回は東京の 国立博物館にて、永青文庫に納められた逸品をあつめた展覧会が開催されています。

江戸時代、熊本の藩主となった細川家の祖と言っても良い細川幽斎(藤孝)、その子忠興は戦国時代を生き抜いた武将でもあり、なおかつ 文化人としても知られていました。幽斎は「古今集」の解釈や様々な学説について伝授する古今伝授をうけた歌人でもあり、多くの弟子を 持っていましたし、忠興は千利休の弟子として茶の湯の世界で活躍し、茶の流派を興した人物でした。

そんな細川一族の残した文化遺産の他、近代になってから収集された物も今回の展覧会では並べられていますが、なかなか見応えのある展覧会 でした。まず、彼らが武士であったことを思い出させてくれる数々の鎧が展示されており、特に細川忠興が関ヶ原で実際に用いた甲冑は、頭には 山鳥の尾を束ねたものが飾られています。同じ飾りがその後の熊本藩主の鎧にも付けられてたりします(祖先に倣ってのことらしい)。昔の大鎧や 胴丸の折衷型の甲冑にまで山鳥の尾がてっぺんに付けられているのをみると何とも不思議な感じがするのですが、兜のデザインで有名だった忠興の センスが窺える逸品でした。

また、茶人としても有名だった忠興を擁するだけあり、細川家に伝わる様々な茶器が展示されていましたし、結構能関係の展示(能面、能装束)の 展示もありました。その他、藩内の滝をかなりリアルに描かせた絵や富士山登山を描いた絵画など、かなりリアルに風景や自然を描く絵画が登場 した所には、何かしらの意味があったのでしょう。その他、時習館や再春館に関する展示(色々な書類関係)、戦国時代や江戸時代の様々な文書 (その中には織田信長直筆の文書もある)が展示されていました。この辺も、好きな人にはたまらない展示でしょう。

第2部は細川護立が集めた様々な美術・工芸品が展示されていました。白陰の、正直漫画チックな絵と、なんかヘタウマな書を見ていると、200年 位後になると、鳥山明とか井上雄彦の漫画が博物館や美術館に並んでいたりするのかなあという気がしてしまいました。あれはどう見ても漫画だ とおもうのですが、どうなんでしょうか。あと、黒猫のリアルな絵をみていると、なんかさわれそうな感じがしてしまいました。なんとなくふわ ふわとして、なで心地がよさそうでした。その他の近代絵画については、かなり軽くスルーして終了。

今回の展覧会を見ていて、個人的なこととしては、自分は近代美術にはなかなか興味をもてないと言うことを痛感させられたこともまた事実です。 なんでだろうな、うん。それは別として、展覧会自体は非常に面白い物でした。久し振りに長居して、じっくりと見てしまいました。


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