「宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝」をみる


2008年1月2日より、国立博物館にて「宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝」という展覧会が始まっています。近衛家というのは 藤原氏の流れをくむ名門中の名門で、その長い歴史の中で積み重ねてきた文化的蓄積もかなりの物があり、それは陽明文庫に所蔵され ています。そして陽明文庫設立70周年記念として、今回の展覧会が開かれています。

展示の構成は、宮廷貴族の生活、近世の近衞家、家熙(←本当はにすいがつく)の世界、伝世の品というかたちになっています。まず、 宮廷貴族の生活としては、近衛家のルーツである藤原氏に関する遺物として、藤原道長の日記「御堂関白記」が展示されていたり、 天皇や貴族の書や絵画が展示されています。近世の近衛家のコーナーでは、その頃に関係する書を中心とした展示がなされていました。

家熙の世界では、近衛家熙が集めた書と彼がそれを模写した物を集めたコーナーと、様々な布を用いて作られた表具や家熙がかいた絵 を集めたコーナーがあり、明や清の織物が使われていたり(清の官服に使う布が表具になっていたりします)、なかなか興味深いものが 並んでいました。

後半には近衛家伝世品の数々が並べられ、茶道具から刀剣、書や色紙、賀茂人形などが数多く並べられています。そこに並べられている 服を見ると、ペルシャの織物や更紗がありました。こんなところで世界と日本の文化が結びついているのは結構おもしろいですね。あとは 人形細工の細かさは見ておくべきでしょう。

全体の構成はこのような形になっていますが、数多く展示されている書はくずし字で書かれているため、そういった物が読める人を連れて いくと、いろいろなことがわかっておもしろいのではないかと思われます。「御堂関白記」の現物を見ると、いろいろなことが暦の隙間に 書き込まれ、それが日記となっているのですが、そういうところを読んで教えてもらえると、平安時代についての理解が深まるような気が するので、国文や日本史の人にその場で解説して欲しいところですね。

また、全体を通じて書の展示が多く、書に興味のある人が見るととても楽しいのではないでしょうか。私はそのあたりは不案内なので、 ちょっとそこのところで楽しめなかったのですが、書の見方なんかも知っておくといいのではないでしょうか。そんな人間でも、後半の 絵や工芸品は見て楽しめますし、布に注目すると世界史との結びつきに思いを巡らせて楽しめるかもしれないと、見終わってから思いました。


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