日々の雑感(2010年7月〜9月)

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9月27日
そういえば、今月号の「ヒストリエ」はどうなるんだろうと思ったのですが、特に大きな進展は無し。ハルパロスがどうなるのか、 ちょっと気にはなりますが。ヘファイスティオンの登場についての話にこれだけ使ったわけですが、果たして今後どういう風に彼を 登場させるんでしょう。彼はエウメネスとは仲が良くなかったようですので、どんなふうにからめていくのか…。

急に冷え込んできましたし、雨が多くなりました。誰だろう、まだまだ暑さが続くなんて言っていたのは。寒くて仕方がない。

それはさておき、「テルマエ・ロマエ」第2巻も大人気の模様。まだまだネタは尽きませんね、この様子だと。若き日のマルクス・アントニウス帝も 登場しますが、こんな出来た若者、本当にいるのかと言いたくなります。一寸できすぎ、と言うか老成しすぎというか。

9月22日
英国MI6の「正史」がこのたびイギリスで刊行され(1949年までと言うのが何か半端ですが)、公式文書をもとに活動を解説しているそうです。

そこでは、サマセット・モーム、グレアム・グリーン等々の作家がかつて諜報活動をやっていたと言うことも書かれています。1949年までで 区切ってしまっているので、何とも半端な感じですが、それ以降の人も入れるとどうなったんでしょうか。そこの所だけ気になります。

サマセット・モームが諜報活動やっていたというのは結構知られていますが(「アシェンデン」はそのときの経験も元にしながら書かれたらしい)、 グレアム・グリーン、アーサー・ランサムあたりも入っていたとは知らなかったです。グリーンは「第三の男」を書いたりしているから、なんとなく イメージもわくけれど、ランサムだと一寸違和感が。確かに冒険物を色々書いていますが、それとスパイ活動はあまり結びつかないし。

9月21日
本を売るとき、その本をどのような人々に向けて売るのかを考えながら、表紙やタイトルの付け方というのも実はかなり大事なのではないかと 言う気がしています。そして、それを決める際にはあえてその作家の作品とか作家についてそんなに詳しくは知らない人にいっぺん読ませて から考えてみたらいいのではないかとも思います。妙な思い入れがない分、かえってうまくいくんじゃないかと。

論文や専門書のように読み手が大体想定できるものはさておき、そうではない一般向けの歴史本を書くときには、相当な困難が伴うんだろうと おもいます。書き手にとっては面白いことが、他の人にとっては別に何とも思ってもらえない・興味を持ってもらいにくいことだと考えたうえで 執筆した方がよいのではないでしょうか。

こんな事を突然書いているのは、何かが好きだという気持ちが過剰になると、往々にしてマイナス要因になるんじゃないかなということをふと おもい、自分がちょくちょく読んでいる海外文学とか歴史の本のことを考えてみると、そういう所ってあるかもしれないなという気がしてきた ので、書いてみただけです。

それとは全く関係ないのですが、紀元前6世紀のマケドニアの墳墓 の発掘品について。 10年間で1000以上の墓がペラ周辺で見つかっているのか。そういうのがあると、どんどん新しい情報も入ってきて、それを元に歴史も書き換えられたり するのでしょう。どんな状況なんだろう。非常に気になる。

9月17日
サイトの移転は完了しましたが、なかなか忙しい日々が続いています。更新はなかなか出来ないですね。気がついたら国立博物館の中国文明の 展覧会の感想等々、書くのをすっかり忘れたままでいたら、記憶が怪しくなってきました。

読書もあまり進まず、図書館で借りた「メイスン&ディクスン」を途中で返却しなくてはいけなくなったり、借りてきた本を全然読めなかったり しています。そんな中で「十字軍物語1」はかなり気楽に読み進めることが出来ました。読み物として気楽に力を抜いて読むなら、別にそんなに 気にせずにさっと読めると思いますが、これでもって十字軍について分かったと思って、あれこれ語るような人は出ないといいんだけどなあ。 あれを読んで十字軍に興味を持ったら他の本も是非読んでみて欲しいと思います。日本語で読める十字軍の本はそんなにたくさんあるわけではない けれども、そこそこはありますので。

9月10日
インフォシークの都合により、サイトを移転してから1週間ほどたちました。前のアドレスでアップロードされていたファイルは全部削った ので、もう見られなくなっています。そうしたら、いつの間にかグーグル大先生には引っかからなくなったようですね。昔は、エウメネスで 検索をかけるとウィキペディアの次くらいに来たのですが、いまは全く引っかかりませんし。まあそのうち検索で引っかかるようになるでしょう。 人が来る来ないにかかわらず、マイペースでやっていくつもりですし。

個人的には、サイト移転を機に又色々な人が来て、書き込み等々を残していって下さると嬉しいのですが、まあ、昨今掲示板ってはやらないので、 管理人個人のツイッター状態になっています。連投連投また連投…。でも掲示板は今後も設置し続けるつもりです。

読書の方は、ここの所忙しく、色々借りてきている物の全くと言っていいほど進んでいません。読まずに返す本が続出することは確実です。 せめて「メイスン&ディクスン(上)」は読み切りたいと思いますが、それもできるかどうか…。

9月1日
すっかり掲示板がツイッター状態になってきている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

日本には四季があるといいますが、段々とそれもなくなってしまうんでしょうかねえ…。乾季と雨季とかそんな感じになるんでしょうか。 春と秋が無くなるのはきついなあ…。暑い日が続きますが、気をつけてお過ごし下さい。

そんな状態ですが、本はちょこちょこ読んでいます。まだ読書コーナーを更新していないので未掲載状態ですが、ダニイル・ハルムス (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ訳)「ハルムスの世界」ヴィレッジブックスとか、デイヴィッド・ベニオフ「卵をめぐる祖父の戦争」 あたりの感想でもアップしようかとおもいます。

8月24日
暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。所用のため更新は来月になってから(歴史コーナーは当分いじれない とおもいます)。

8月19日
大河ドラマというと、戦国時代の比率がなんか高いような気がしますし、戦国時代をやるとしても、必ず有名どころが絡んでいないと 駄目なような印象があります。そのため、かなり無理をして主人公を有名人と絡めたりしているように感じてしまいますが、そんなこと をしなくても十分に題材となり得る人物が一人います。

それが、近衛前久(このえさきひさ)というお公家さんです。この人自身はお公家さんなのですが、絡んだ人物がまあいろいろまして、 信長・秀吉・家康の3人とのからみはもちろん(石山合戦の講和斡旋、秀吉の関白就任、家康の徳川への改姓)、上杉謙信とは血判状まで かわし、自ら東の方へ行ってしまったりもしています。そのほか足利義昭、島津氏あたりともからんでいるようです。

来年の大河ドラマはむりやり色々と絡めて話を進めそうな予感がするので、既に期待はしていませんが、これだったら、むりして主人公を 有名人と絡めようとして、変な方に話を持って行かなくてもいいんじゃないかなあ。もっとも、これはこれで、主人公がマイナーすぎる、 とか、大河向きじゃないとか言う人もいるかもしれませんが、周りの有名人でカバーするというのが最近のやり方なのだろうから、その 辺りの問題はどうにでもなるんじゃないのかな。

8月18日
上野の西洋美術館にて現在開催中の「カポディモンテ美術館展」を見に行ってきました。ナポリの美術館にある絵画や工芸品などを 展示している展覧会でしたが、非常に有名な作品が来ているとか、興味関心を持ちやすい時代を扱っているといった展覧会ではない せいか、特別展の割にはずいぶんと空いていました。じっくり見てくることも可能だったのですが、こちらも少々駆け足気味で見て 帰ってきてしまったので、雑文のところでまとめて記事を書くと言うことは今回は無しと言うことで。


8月15日
ちょっくら不在にしており、サイト更新がずっと開いてしまいました。とりあえず、疲れがとれたらぼちぼち更新していこうかと思います。 疲れがこれから出てきそうな予感がしますが、何故か今のところ元気です。

この間に読んだ本は、ウンベルト・エーコ「前日島」(文春文庫)だけですが、これだけにしておいて良かったです(蘊蓄・脱線がおおい、 かなりくどい本です)。

8月3日
このサイトの読書コーナーを見ると、圧倒的多数を歴史関係の書籍が占めているのは分かると思います。また、文芸関係の書籍についても、 日本の文学よりも海外文学の方が多いような所があります(たまに流行り物が混ざっていたりしますが)。

何でそんなことになったんだろうと、自分でも色々と考えたことはあったのですが、なかなか答えは出ていません。ただ、自分たちの生きる 時代以外のところで生きている人々がどのように暮らし、どのような社会を作ってきたのか、そこのところに興味があって歴史が好きに なったり、「現在・この場所」ではない何かに興味があって海外文学のほうに興味がいくところはあるのかもしれません。

何でこんな事を書いているかというと、こちらに書 いてあることを読んで、なんとなく 腑に落ちるというか、そういうことかと納得がいったもので。この記事ほどはっきりとした自覚や意識はなかったけれど、 共感より発見、同一性より多様性、そっちのほうがいいなとは漠然と思ったこともありました。みんな同じってのもなんか飽きてしまいそうですね。 ただ、読書の傾向を見ると分野が偏ってしまっています。理系の分野にも興味を持つことはあるのですが、なにせ数式を見ると思考が停止してしまう ので、どうしても避けてしまうんですよね。それじゃいけないよなと思い、もっと色々なジャンルの本に手を出してみようかと思います。それに 歴史本にも科学史とかそういうジャンルの本はあるだろうし、と言うことで、結局歴史の本に戻ってきてしまいましたが、極力色々なジャンルの 本に触れていきたいと思う今日この頃です。

8月2日
今回、読書コーナーにマリー・ンディアイ「ロジー・カルプ」という作品を掲載しました。内容自体は、何とも読んでいて後味が良くない というか、話者が頻繁に入れ替わっていたり、書いている場面がいつの間にか変わっていたりして、暑さでなんか変になったんじゃないかと 言うような感じを受ける本でした。

で、今回の著者はンで始まる名字です。アフリカ系の人にはそういう人が多摩にいますが、まさかそういう人の本を読書コーナーに掲載する ことになるとはおもいませんでした。ンで終わる人やモノはなかなか少なく、昔、世界史事典で「ンデレベ王国』という項目を見て以来に なります。ただ、これからアフリカを題材とした本などが色々と出てくると、ンで始まると言うことに違和感を感じなくなるときはくるの かもしれません。しかしそうなったとき、しりとりはどうするんだろうか…?

8月1日
そういえば、一寸前に久し振りに古代オリエント博物館へ行ってきました。古代地中海世界がテーマとなっている特別展が開催中のため、 池袋のサンシャインシティまでいきましたが、池袋から歩くと結構面倒ですね、あそこって。

展覧会自体は、大きさの小さな遺物の展示が多く、大きな何かがどんとおいてあって目立っているという感じではないですが、じっくりと 見るにはいいかなと思います。ただ、これを見に行った日はちょっと熱中症にでもなったのか、あまり気分が優れず、さらっと流してみる感じ になってしまったのが悔やまれます。

一寸地味な展覧会のためか、少し空いていました(もっとも会場自体も広くはないが)。もうちょっとお客さんが来るといいのですが…。 昨今、文化関係のものは色々と大変だし。

7月28日
1 年以上前に出た『アレク サンドロス変相』が取り上げられていました。 イスラム世界におけるアレクサンドロスの扱われ方を丹念におった本です。かなりいい値段でなおかつ分厚い本のため、いきなり買って全部読 めと言われても厳しいかもしれませんが、面白いとおもいます。そういえばこれが出た頃、他にも欲しい本が何冊もあり、かなりお金を使って しまったような記憶があります。

この内容をベースに一般向けの本を出すとか、そういう展開もあるのかな。個人的にはそれを期待したいところですが、昨今の出版事情を考える と、なかなか難しいかもしれませんね。

7月24日
アマゾンで見たら、A Companion to Ancient Macedonia(今年の冬刊行予定)の値段が前までと比べて3000円下がっていたので、ついぽちっと してしまいました。果たして読む時間があるのか、置く場所はあるのか等々、問題はありますが、たまには欲しい物を買ってもいいよね。 で、値段は今の円相場からすると7月24日時点でついている値段の方が妥当なのですが、他の本も円相場の変化に合わせて変わったのかというと そうでもないようなので、何があったんでしょう。


7月22日
ここの所の暑さが尋常ではない感じがする今日この頃、皆様お元気でしょうか。

何かを詳しく知りたいので専門書が読みたいけれど、専門書は大抵高い&場所を取るのでなかなか買いづらいと感じる人も多いかと思います。 そんな皆さん、公共図書館、どれだけ利用していますか?利用できるのならどんどん利用しましょう。私はここ数年、かなりの頻度で公共 図書館を利用していますが、夜10時までやっている千代田図書館などなど、結構使おうと思えば使えるところもあります。ここに限らず、 東京都内にすんでいるのであれば、23区内だと東京都民であるか、都内に通勤・通学している人であれば利用証を作れるところが多いので、 どんどん利用するべきだと思います(ほかの自治体の所は分かりません、すみません…)。

地元の図書館は一昔前のベストセラーが場所を取っていて、あまり本がそろってないから使わない、と言う人もいるかと思いますが、本が 無ければ買ってもらうか取り寄せるということもできます。リクエストすると、かなり専門的な本も入れてもらえることもあるので(あまり に高すぎて断られることもあるが)、楽しい読書生活のためにどんどん利用した方がいいでしょう。

専門書の品揃えでは大学図書館や研究室にはかなわないところはありますが、在校生じゃないとなかなか貸してくれない&中に入りにくい などの面倒な点がある大学図書館と比べると利用しやすいし、頼むと色々やってくれますよ(紹介状書いてもらったりも出来るみたいです)。

借りるんじゃなくて買えという方もいると思いますし、買った方がよいのは重々承知しています。しかし、財布の中身&収納場所の問題を 考えると、何でもかんでも買うわけにも行かず、色々と考えなくてはいけないので、その辺はご勘弁願いたいところです。また、出版社も 商売でやっている以上、そこそこ売れてくれないと、その後本が出なくなることもあります。個人で買い支えをするのも限界がありますし、 そういう所も考えると、個人よりはお金を持っているであろう図書館にどんどん専門書を入れてもらうのはいいんじゃないかとおもいます。 後は、図書館にも本の入れ方を一寸まじめに考えて欲しい物ですね。人がいっぱい来るから、と言うだけでベストセラーを大量に入れると いうのはどう考えてもおかしいだろう(その辺で、千代田図書館はうまくやっていると思います。あえて1館1冊しか置かないというのは ありだとおもう)。

7月17日
今日の毎日新聞の「余録」(天声人語みたいな物)にて、ア テネ民主政が扱われていました。 ストラテゴスの選挙から始まり、ストラテゴス=戦略の語源、ということで「国家戦略局」に話を引っ張り、最後は、戦略無き政治家 を選ぶのなら選挙は無用、抽選で選べば十分という締めになっています。どうせならここで今月出たチェスタトン「新ナポレオン奇譚」 でも引っ張ってみたらいいのに…。言いたいことがめちゃくちゃになりそうな気がしますが。ま、それはさておき、先月の日経新聞の ほかに康也って取り上げられることによって、少しでもこの辺の時代の本が売れるようになるといいなあ。もっとも、8月にメチエで でる手嶋兼輔『ギリシア文明とは何か 「ヨーロッパ」を生み出した海と自由の文明』はなんとなく買おうという気分にならなかったり します(前に同じ著者の本をよんで、なんとなく違和感を覚えたので)。

衛星放送でスターウォーズ特集をやっていますが、スターウォーズ30周年を記念してストームトルーパーの格好をして5マイル行軍するって、 めちゃくちゃハードだろうに。色々な趣向を凝らしたパレード(フライングマンもいました)のなかでも、かなり目立ってますね。 マスク株って衣装を着けたら、非常に動きにくいし。それにしても、訓練の様子が本気の軍事訓練みたいになっていますが、ここまでやる ってところが凄いぞ。日本のガンダムマニアが大勢集まってジオン公国軍の軍服を着て何キロもパレードをするなんてことはまずやらない だろうし。それはさておき、共和国軍より帝国軍の方が皆さんお好きなようで。

7月10日
東京国際ブックフェアに行ってきました。はじめは午前中から行こうと思った ものの、諸般の事情により、午後から行ってきました。
今回、購入本は2冊にとどまりました。色々と欲しい物はあれども、置く場所がないもので。
それ以外で目についたことでも。

・ダニエル・カールは日本語が達者だった。きっとかれとデーブ・スペクターはCIAの手先に違いない。

・電子書籍の所は意外と人がいなかったものの、そのあたりで小飼弾を見かけました。はじめは気づかなかったのですが、名札を見て ようやく気がつきました。そういえば、小飼弾のブログ記事から何故かうちのサイトにリンクが貼られていたこともあったなあ。

・サウジアラビア王国が今回はプッシュされていました。見に行っても良かったのかなと思いましたが、他に見たい物があったのでスルー。

・色々なブースが並んでいましたが、藤原書店はなかったなあ。去年、一昨年も見た覚えはなかったのですが、またもどってきてほしいものです。 個人的には山川出版社単独のブースがあると嬉しかったのですが、それはなかったです(歴史書懇話会のブースはありましたが)。あそこも単独で 出して欲しいところです。

・共産党系のものの隣にWAC出版(思いっきり右)がいたり、WACの前は韓国系の出版社があったり、ある意味見物なコーナーが出来ていました…。 まあ、雰囲気は極めて平和でしたが。

7月6日
最近読んだ「ボリス・ゴドノフと偽のドミトリー」によると、17世紀、18世紀のロシアには大勢の僭称者が登場したとのこと。 イヴァン雷帝の息子ドミトリー皇子の名をかたる僭称者が現れ、動乱時代に突入した時期を扱った本ですが、ドミトリーが1世から3世( 後もう1人いるらしい)があらわれたり、エカテリーナ2世の夫ピョートル3世を語る人物もプガチョフ以外にも大勢いたりと、次から次に 同じ人物を称する人物が登場したり、いないはずの人物が創造されたり、何でも有りのような気がしますが、選ばれている人物を見ると 微妙なところを突いているような感じがします。早世したり、よく分からない状況で死んだり廃位された人が占めているように感じますが、 そういえばそんな人いたかなあというレベルの人にしておいた方が、なまじ有名人を語るよりも味方を増やしやすいような気もしますので、 なかなかうまいところを突いているのではないかと。

そういえば、日本史だと僭称者って誰かいたかな?ロシアの僭称者ネタにちかいものは「〜の御落胤」とか「〜の忘れ形見」とかそういう 物かなとも思いますが、それもフィクションの世界でしか見た覚えはないし(天一坊とか)、それを掲げて何かをやらかしたという人は いないような気がします。どうだったかな。

自分が本当の源頼家だといって蜂起した人もいないし、我こそは真の足利義教だといって乱を起こした人もいないし…(彼らには誰もついて こないような気がしますが、それはさておき)。本当の天皇は自分だと言う人はたまにでてきますが、相手にされていないですからねえ。 南北朝はどちらも本物の天皇同士だから一寸違うし。

7月2日
久し振りに見た街が全然変わっておらず、なんだかなあとおもう今日この頃。

岩波文庫の今月の復刊に「オデュッセウスの世界」がありました。そういえば持っていたような気がするけれど、どこにおいたかな。 たまにこういう復刊があるのですが、一方で絶版になる本も多いからなあ…。アッリアノスが品切れ重版未定にならないといいのですが、 ここのところずっと在庫僅少表示が続いているし、なんか心配。ヘロドトス「歴史」以外は結構品切れ重版未定になったりしている本が おおいですから。トュキュディデスしかり、タキトゥスしかり…。クセノフォン「アナバシス」はまだ売っているようですが、あの漫画 のおかげでしょうか?ただ、何時品切れになるか分かりませんが。

2010年も半分過ぎてしまいましたが、この半年で読んでおもしろかった本を10冊挙げると、こんな感じになりました。
(順番は適当です)

  • 吉澤誠一郎「清朝と近代世界」岩波新書
  • 欧米諸国のやられ役としての清朝ではなく、近代世界で主体的にふるまう清朝の姿を描いている一冊。


  • 岩明均「ヒストリエ6巻」講談社
  • 物語が大きく動く巻ではないのですが、面白い。ヘファイスティオンの設定はびっくりしましたが。


  • フランク・オコナー「フランク・オコナー短編集」岩波文庫
  • 全部読むのが一番いいけれど、余裕がなければ「国賓」だけでも先ずは読んで欲しい。


  • トム・ジョーンズ「拳闘士の休息」河出文庫
  • ぎりぎりの状況で生きる人々の姿を描いた作品。個人的には「シルエット」「ロケットマン」が面白かった。


  • 澤田典子「アテネ民主政」講談社選書メチエ
  • 人物からよむ古代アテネの歴史。人物で読む本って、入り口にちょうど良いと思う。


  • ジム・ホワイト「マンチェスター・ユナイテッド クロニクル」カンゼン
  • マンチェスター・ユナイテッドを主人公とした大河ドラマみたいな本。ファンなら読みましょう。


  • ジャウメ1世「征服王ジャウメ一世勲功録 レコンキスタ軍記を読む」京 都大学学術出版会
  • 中世の原典が充実した解説ともに出版されるのは珍しいので是非。また中世の軍事について関心がある人も。


  • 本郷和人「天皇の思想 戦う貴族北畠親房の思惑」山川出版社
  • 鎌倉時代の朝廷のことって案外知らない人が多いような気がするので、読んでみて欲しい。


  • クレア・キーガン「青い野を歩く」白水社
  • 何かが終わり、何かが始まる、その時の何ともいえない感じが伝わってくる作品が多かった。


  • ミロラド・パヴィチ「ハザール事典(男性版・女性版)」東京創元社
  • 話の展開と言うより、バラバラに見える各項目がつながった時の爽快感がいい。


    こうやってみてみると、新刊本もあるけれども、そうではない本も結構混ざっています。トム・ジョーンズは昨年復刊され、評判が高かった 本ですが、評判通り面白かったですね。あとはフランク・オコナーとクレア・キーガンも良かったです。

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